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【社会】

インフルエンザ 変異ウイルス流行か

2009年2月5日 朝刊

 全国でインフルエンザの感染が拡大しているが、流行の中心とみられるAソ連型(H1)ウイルスが、日本で遺伝子変異を起こし、ワクチンの効果が低下している可能性のあることが四日、分かった。 

 H1ウイルスをめぐっては、国内で採取されるウイルスの大半が抗ウイルス薬タミフルへの耐性をもっていることが既に明らかになっている。

 A型ウイルスは変異しやすいが、仮に想定以上の大きな変異が起き、ワクチンが効きにくい状況になっているとすれば、インフル対策の重要な二本柱が両方とも危うくなっていることになり、早急な対策見直しが迫られそうだ。

 調査にあたった国立病院機構仙台医療センターの西村秀一ウイルスセンター長をはじめ仙台市、山形市、福岡市の医師グループは、ウイルスの詳しい解析やワクチンの臨床効果の調査を早急に進めるよう国に求めている。

 西村氏らは、仙台と福岡の医療機関の検体から計七十二株のH1ウイルスを採取。これを今季のワクチン株を元にした抗血清を用いたHI(赤血球凝集抑制)試験で調べた。

 その結果、採取されたウイルスのほとんどが、ワクチン株の抗原性と大きく異なっていた。このことは日本で流行中のウイルスは、ワクチン株の元となったウイルスとは大きなずれが生じ、ワクチンの効果が低下している可能性を示しているという。

 ワクチンは必ずしも感染を防止するものではないが、予防接種が積極的に行われているのに学級閉鎖などが相次いでしまった現状から、ワクチンが例年よりも効いていないのでは、と疑問視する声が上がっていた。

 西村氏は「仙台、福岡のウイルスだけが特殊な状況にあるのかどうかは分からない。あとは国に早急に各地の状況も調べてもらい、必要なら新たな対応を検討してもらうしかない」と話している。

 一方、厚生労働省では「情報を受け、特に対応はしていない。今月中に新しい情報をまとめたいとは考えているが、ウイルスの解析には時間がかかる」と話している。

 

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