気象庁は3日、浅間山(2、568メートル)は2日未明の小噴火後、短周期の地震の回数が減り、傾斜変化も緩やかになったとし、「噴火が切迫している」状態は解消されたと発表した。火山活動はまだ活発な状態で、噴火警戒レベル「3」(入山規制)は継続している。
同庁浅間山火山防災連絡事務所(北佐久郡軽井沢町)によると、火山性地震は、3日は午後7時までに50回。2日は93回、1日は246回だった。噴火前に増える短周期地震の割合も減り、噴火前に観測した地面の膨張も落ち着いているという。
ただ、噴煙量や火山ガスの放出量は依然多い。前川和宏所長は、2004年9月の噴火時も約3カ月、噴火と小康状態を繰り返したとし、「今後も噴火が起きる可能性はある」と説明。半径4キロ内では、引き続き大きな噴石の飛来に警戒が必要と指摘した。
一方、今回の噴火を調査している東大地震研究所(東京)は3日、軽井沢町で採取した火山灰に少量の新たなマグマ物質が含まれていたとの分析結果を公表。同研究所の中田節也教授は「マグマ物質の量は少なく、水蒸気爆発により近い『マグマ水蒸気爆発』と考えられる」とした。
水蒸気爆発は、マグマに熱せられた地下水が水蒸気になって膨張し爆発を起こす。気象庁によると、マグマが火口から噴き出るマグマ爆発と異なり、水蒸気爆発には新たなマグマ物質は含まれない。今回の噴火は、火口底でマグマが直接地下水などに接触したマグマ水蒸気爆発の可能性が高いという。
噴火警戒レベルを引き上げた1日午後から全面通行止めとなっていた有料道路「鬼押ハイウェー」と「白糸ハイランドウェイ」は3日午前、通行止めが解除された。