縮む百貨店市場、大阪4強争奪戦──高島屋・H2O、Jフロント、三越伊勢丹、近鉄 増床に懸念も2009/02/04配信
大丸心斎橋店と北隣にあるそごう心斎橋本店を単純合計すると、売り場面積は約7万8000平方メートル、売上高は1300億円弱となる。売り場面積では大阪では近鉄百阿倍野本店に次ぎ2番目、売上高では阪急百貨店梅田本店、高島屋大阪店などに次ぐ4番目だ。 大丸は京阪神に心斎橋店、京都店、神戸店など4カ所に650億―1000億円弱の有力店舗を抱える。営業基盤は安定しているが、商品調達などで取引先との交渉で優位に立てる「地域一番店」は売上高が1000億円弱ある神戸店だけだ。 今回の交渉で合意できれば、商品調達力が向上する効果のほかに、2館体制で幅広い品ぞろえを実現できる。1933年に完成した落ち着いた雰囲気の大丸心斎橋店は中高年向け、そごうの店舗は若者向けに特化するといった特色のある店づくりも可能だ。 ただ、百貨店市場は構造的な縮小傾向に歯止めがかからない。近畿百貨店協会がまとめた08年の大阪地区の百貨店売上高は約1兆576億円で、前年比3.9%減少した。昨秋の米金融危機以降の消費の落ち込みで、09年の市場規模が一段と落ち込む公算もある。 「京都で起こったことの二の舞いにならなければいいが」と在阪百貨店の元幹部は不安の色を隠さない。 97年にJR京都駅に伊勢丹が出店。京都市内の高島屋、大丸、近鉄百は増床で対抗した。駅直結の立地を生かした伊勢丹は売り上げを拡大。京都に加え、滋賀、大阪の顧客が伊勢丹に流れ込み、07年に近鉄百は撤退を余儀なくされた。11年に大阪駅にジェイアール大阪三越伊勢丹(仮称)が進出、迎え撃つ在阪百貨店が売り場を拡大する構図は京都と似ている。 08年10月のH2Oと高島屋の経営統合合意に続き業界を襲った激震が、巨大な売り場で限られた顧客を奪い合う「大阪百貨店戦争」の行方に影響するのは確実。魅力的な売り場づくりに向けた各社の商品政策が問われることになる。
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