小売り大手のセブン&アイ・ホールディングスは3日、傘下のそごう心斎橋本店(大阪市)を売却する方針を明らかにした。関西地盤の大丸を持つJフロントリテイリングと金額など詰めの交渉を急いでいる。また、同じく傘下に持つ西武百貨店の札幌店と旭川店(ともに北海道)を閉店する方針も固めた。
セブン&アイはこの3店の収益が特に悪化しているとして、百貨店として維持し続けても業績回復は難しいと判断。売却や閉店の方針を決めたという。他の25店は百貨店として維持する見通し。
関係者によると、そごう心斎橋本店の売却額は300億〜400億円とみられ、今春にも合意したい考え。ただ、買い取る大丸側も未曽有の不況下で売り上げの低迷が続いており、交渉が長引く可能性もある。そごう心斎橋本店は、売り場面積が約4万平方メートルの大型店で、00年に破綻(はたん)したそごうが05年に再開した象徴的な店舗。大丸としても、隣接する大丸心斎橋店との一体運営で、てこ入れできると判断したようだ。
西武の札幌店と旭川店は閉店し、グループのスーパーや専門店を集めた商業施設への転換や、オフィスビルへの建て替えなどを検討している。1月29日に経営破綻した丸井今井(本社・札幌市)の戦略を見極め、雇用の確保なども検討したうえで、時期などを最終判断するもようだ。
◇
■そごうをめぐる動き
1830年 前身の「大和屋」を大阪市内に開業
1877年 大和屋を大阪・心斎橋に移転し、「十合呉服店」と改称
1919年 百貨店経営をスタート
1969年 「そごう」に改称
2000年 7月 民事再生法の適用を申請
12月 大阪店(現・心斎橋本店)など9店を閉鎖
01年 2月 西武百貨店と包括的業務提携
03年 1月 民事再生手続きを終結
6月 西武と経営統合しミレニアムリテイリング設立
05年 9月 そごう心斎橋本店を再オープン
06年 6月 セブン&アイがミレニアムを経営統合し、完全子会社化
09年 1月 そごう、ミレニアム、西武の3社が8月1日付で合併すると発表