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【スポーツ】

愛ちゃんがカスミン泣かせた 卓球全日本選手権女子シングルス

2009年1月19日 紙面から

 愛ちゃんがカスミンを泣かしちゃった−。女子シングルス準々決勝で福原愛=ANA=と石川佳純=ミキハウスJSC=が初の一騎打ち。序盤から気迫満点の攻めを見せた福原が4−0と圧倒し、妹分を号泣させた。元中国代表で07年末に日本国籍を取得した王輝=日立化成=に準決勝で敗れたものの、全日本選手権3位は過去最高。“テニスの王子様”錦織圭=ソニー=との交際が昨秋に発覚してから初の国内大会で、一回り成長した姿を見せた。

 勝負の鬼と化した愛ちゃんが、情け容赦なく石川を粉砕した。叫ぶ。ニラむ。試合開始から「サーッ」の連呼。ついに実現した夢の対決は、石川のフォアがアウトとなった瞬間に決着。左コブシを握り締め、満面の笑みで天を見上げた。

 「自分は向かっていく立場。思い切って攻めることができた。私が石川さんに勝てるのは経験。その経験を生かせた。スポーツに年齢は関係ありません」

 日本代表合宿などではよきお姉さんとして石川をかわいがってきた。“天才道”を伝授したのも実力を認めているからにほかならない。この日も試合前の練習では笑顔で話しかけた。だが、試合になると一変。前日敗れたダブルスの二の舞いは許されない。鬼が乗り移ったかのように攻めの姿勢を貫いた。

 昨年11月、錦織との原宿デートが写真週刊誌で報じられた。動揺もあったに違いない。大会中も錦織関連の質問は禁止され、異様な緊張感の中で迎えた11度目の全日本選手権だった。しかし、福原の気持ちはキッチリ切り替わっていた。

 契機は大会前に行った1カ月の中国合宿。試合で着けていたカラフルなヘアピンは中国で購入したものだ。「5元(約66円)で売ってたんですけど、2元(約27円)まで値切ったんですよ。大阪のオバチャンみたい」。ありのままの姿でいられる場所で、本来の自分を取り戻した。

 3年ぶりの無冠にも後悔はない。「優勝したかったけど、練習してきた成果を十二分に出せたので満足してます」。悲願の初優勝には届かなかった。しかし、シングルスでは過去3度の8強を超えた。

 今年の最大目標は、4月28日に開幕する横浜開催の世界選手権。「今までやってきたことが間違いではなかったと確認できた」と自信を深めた“恋するエース”が、堂々と世界の強者を迎え撃つ。

 (井上学)

 

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