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隣接百貨店、集客戦略で明暗 そごう心斎橋本店売却 (1/3ページ)
セブン&アイ・ホールディングスが、そごう心斎橋本店(大阪市中央区)の売却先として検討したのは、そごうと隣接する大丸心斎橋店を抱えるJ・フロントリテイリング。隣り合う百貨店の明暗を分けたのは、双方の戦略の違いだった。
そごう心斎橋本店の前身である破綻(はたん)前のそごう旧大阪店は、集客のために頻繁にワゴンセールなどを行って高級イメージを損ない、顧客離れを招くという悪循環に陥った。再生したそごう心斎橋本店が「なにわ遊覧百貨店」を名乗り、エンターテインメントや文化を前面に打ち出したのは、その教訓からだ。
平成17年9月に開業した同店は、上層階にそごう劇場と、レトロな町並みを再現した趣味の店を置き、大人の集客戦略を図った。しかし、同店は客足も売り上げも伸びず、業界関係者から「百貨店は文化でなく、ものを売らないといけない」と辛辣(しんらつ)に批判されることもあった。
大人のイメージは、消費の中心層である若い女性の足を遠ざけた。そればかりか、若い女性に人気の洋服ブランドを誘致しようとした同店の婦人服バイヤーは、メーカーから「ブランドにそぐわない」とやんわり断られるという屈辱もあった。