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【経済】

そごう本店 大丸に売却へ 百貨店“切り売り”リストラ新局面に

2009年2月4日 朝刊

 流通大手セブン&アイ・ホールディングスが傘下百貨店のそごう心斎橋本店(大阪)の売却方針を固めたことで、業界は不採算店舗の“切り売り”という新たな局面に入った。大手企業同士の再編・統合という潮流から、今後は個別店舗や地方百貨店を単位にしたリストラが加速しそうだ。 (石川智規)

 そごう心斎橋本店は年商約四百四十億円の主力店だが、足元では業績が落ち込んでいる。さらに、二〇一一年には大阪地区に三越伊勢丹ホールディングスが新店を構えるほか、各社が既存店舗の大幅増床を予定する「大阪百貨店戦争」の渦中にある。しかし、そごう本店は目立った改装計画がなく、今後は埋没の恐れがある「お荷物」(関係者)だった。

 一方、同店舗の買収を検討するJ・フロントリテイリングにとっては、近隣の大丸心斎橋店との一体運用を行うことで、増床と同じような効果が得られる。売り手と買い手の思惑が合致し、大手同士で初となる店舗売買につながった。

 「今後は店舗単位の切り売りも研究しなければならない」と大手百貨店関係者は指摘する。企業グループ同士の離合集散といった既存の枠を超え、今後は地域店舗ごとにあらゆる組み合わせを検討する必要に迫られると見通す。

 地方地盤の百貨店も視野に加えれば、その勢力地図はさらに複雑さを増す。札幌の老舗百貨店「丸井今井」が先月下旬、民事再生手続きを開始したように、地方では景気悪化がより色濃い。店舗整理や統廃合の火種は各地にくすぶっている。

 流通業界に詳しいアナリストは「人口減で小売市場が縮小する以上、店舗切り売りや地方百貨店の淘汰(とうた)は避けられない」と指摘している。

 

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