アジア・オセアニア

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インドネシア:ミャンマー少数民族の避難民漂着が相次ぐ

 【ジャカルタ井田純、バンコク藤田悟】インドネシア西部で今年に入り、ミャンマー、バングラデシュ国境付近に住むイスラム系少数民族「ロヒンギャ族」の避難民が小舟で漂着するケースが相次いでいる。インドネシア政府は「政治的迫害が理由の難民ではなく、経済的事情による移住目的」として送還を表明したが、ロヒンギャ族は「タイで拘束、暴行されたあと、海上に放置された」などと証言。人権団体からも避難民の保護と真相究明を求める声が強まり、両国政府は難しい対応を迫られている。

 インドネシア当局によると、スマトラ島のアチェ州沖で、1月7日に193人、今月3日に198人のロヒンギャ族の避難民が発見された。飢えや疲労で漂流中に20人以上が死亡し、生存者も衰弱が激しいという。

 生存者は「タイ南部で軍に拘束され、暴行を受けた。その後、小舟で沖に運ばれ、3週間にわたって漂流を続けた」と証言。治療に当たったインドネシア人医師によると、避難民の体には、むちか棒によるとみられる傷が残っているという。

 また、タイの人権団体は、タイ海軍が沖合を航行していたロヒンギャ族数百人を拘束し、わずかな食料と水を与えて再び公海上に放置したと指摘。これに対し、アピシット首相は2日、「海軍が虐待したという証拠はない」としたうえ、「(避難民は)仕事を目的にした違法入国者」との見解を示した。

 タイ南部ではここ数年、イスラム国のマレーシアやインドネシアに向けて脱出したロヒンギャ族が漂着するケースが増加。不法入国したロヒンギャ族がイスラム武装勢力の手先になっているとの見方もあり、軍が警戒を強めていた。

 インドネシア当局は当初、避難民の送還を発表していたが、国連や人権団体の懸念表明を受け、「人道的見地に基づいて対処する」と方針を転換。今月開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳会議などの場でミャンマー、タイと協議する考えだ。

 インドネシア国内のイスラム団体は政府に対し、ロヒンギャ避難民の保護や、ロヒンギャ族への迫害をやめるようミャンマー政府に外交ルートで働きかけることを求めている。

 ◇【ことば】ロヒンギャ族

 ミャンマー西部ヤカイン州に多く住むイスラム教徒の少数民族。仏教国であるミャンマーの軍事政権は、国籍を与えず、迫害の対象にしてきた。多くが国外に逃れ、日本にも群馬県を中心に100人以上が生活。

毎日新聞 2009年2月4日 21時34分(最終更新 2月4日 23時05分)

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