200人の枠に応募4人。北区役所内の臨時職員採用受付窓口=東京都北区王子本町1丁目
失業して茨城県の臨時職員として採用された2人。公共工事関係の書類整理を担当している=水戸市
派遣切りなどにあった人たちを救おうと自治体が用意した臨時雇用枠が埋まらない。東京都北区では、延べ200人分を募集したが、手を挙げてきたのはわずか4人。安(時給が安い)、官(仕事が事務中心)、短(雇用期間が短い)の3要素が各地で壁になっているようだ。
富士重工業の拠点工場がある群馬県太田市では、市職員の残業代を減らして人件費をひねりだし、3月末までの期間限定で臨時職員20人を雇うと昨年末に打ち出した。富士重工業の派遣社員や期間従業員ら約1200人が2月末までに契約を打ち切られることに危機感をつのらせた。
ところが、1月28日までに応募してきたのは「定員割れ」の19人。人事課の担当者は「少なすぎる」と拍子抜けする。
一方で、27日に市内で群馬県などが開いた緊急就職面接会には650人以上が殺到。会場に入りきれずにあきらめて帰る人も出たほどだった。会場で繊維会社の面接を受けたという同市内の男性(45)は昨年末、派遣で働いていた半導体関連の工場を雇い止めになった。年明けからハローワークに通い詰めているが、「市の臨時職員の募集には興味がない」という。
なぜ?
「採用期間が短いところには行きたくない。4月にまた仕事探しをしなければならないから」。自動車部品工場の派遣契約が3月で切れるという同市内の男性(34)も「臨時職員は働ける期間が短すぎて応募する気にならない」と話した。
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東京都北区。
200人分の区臨時職員の募集に応じた4人のうちの1人は38歳の男性だ。庁舎管理係として21日から働いている。時給850円。点字ブロックについたガムをはがすのに苦戦する日々だ。清掃の仕事は初めて。「仕事だから、がまんしてやっている。給与をもらえることで、ものすごく助かっている」と話す。