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【社会】

共産党が失業者に寄付 名古屋の施設入所者40人に5千円ずつ

2009年2月3日 10時51分

 職と住まいを失った非正規労働者らに向け、名古屋市が同市南区の民間企業寮を借り上げ提供している緊急宿泊施設で先月28日、共産党と関係団体が入所者40人に対し、一人5千円を寄付していたことが分かった。公職選挙法は、特定の候補者らを支持する政党など「後援団体」による寄付を禁止すると規定している。

 寄付活動を実際に行った共産党の佐野隆文・南区生活相談所長は「ハローワークに通う交通費など、当面の就職・生活支援の趣旨だったが、誤解を招いたとすれば、もう少しきちっとやればよかったかもしれない」と話している。佐野所長は2007年の名古屋市議選に同党公認で立候補し、現在も政治活動を行っている。

 佐野所長によると、非正規労働者らへ寄付を実施したのは、共産党と南民主商工会、名古屋南地域労働組合総連合、南区の生活と健康を守る会の4団体でつくる任意団体「派遣切りを許すな南区実行委員会」。

 南区で非正規労働者が最も多く集まった同宿泊施設内の食堂掲示板に同党名の入ったチラシを張り、1月28日午後1−2時の間に食堂で現金を支給することを告知。同実行委員会として「就職に役立ててほしい」と説明した上で、集まった40人に封筒に入った5千円を配った。寄付金の原資は1月中旬に4団体による募金活動で集めたという。

 金を受け取った入所者の一人は「所持金がなく、ありがたかった」と話すが、別の元入所者は「現状の僕らにとって5千円は大きく、喜ぶのは当たり前。それで支持を増やしたいという意図が透けて見え納得できない」と疑問視している。

 名古屋市保護課は「特定の政党が入所者に寄付を行っていたとすれば望ましくないことで、事情を聴きたい」としている。総務省選挙課によると、公選法で寄付が禁止されている「後援団体」とは、特定個人の候補者を支持することが主目的の団体と解釈される。同課は「一般的な政党が該当するかどうかは分からない。司法的判断はできない」としている。

 ■日本大の岩井奉信教授(現代日本政治学)の話…趣旨は弱者救済といっても共産党の名前を出す以上、党の売り込みという目的は否定できず、寄付はおかしい。元市議選候補者の寄付活動参加も、禁止された「公職の候補者になろうとする者による寄付」にあたる恐れがある。全体として公選法違反の可能性があるのではないか。

(中日新聞)

 

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