「南京大虐殺否定論13のウソ」P163-164 吉田論文
具体的に言えば、立の「戦時国際法論」が指摘するように、「正規の兵力に属する者が、敵 対行為を行うにあたり、制服の上に平人の服を着け叉は全く交戦者たるの特殊徽章を附した る服を着さざるとき」などがそれである。その場合は、「軍人(交戦者)に依り行われる交戦法規 違反の行為」、もしくは「変装せる軍人又軍人以外の者」が行なう「有害行為」に該当し、 「戦時重罪」(戦争犯罪)を構成する。しかし、ここで決定的に重要なのは、立ての次の指摘 である。
『凡そ戦時重罪人は、軍事裁判所又は交戦国の任意に定める裁判所において審問すべきも のである。然れども全然審問を行なわずして処罰をなすことは、現時点の国際慣習法上禁じら るる所と認めねばならぬ。』
つまり、たとえ国際法違反の行為があったとしても、その処罰については軍事裁判(軍律法 廷)の手続きが必要不可欠だった。南京事件の場合、軍事裁判の手続きをまったく省略したま まで、日本側が戦時重罪人と一方的にみなした中国将兵の処刑・殺害を強行したところに こそ大きな問題があったのである。
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