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宇宙の果てへの挑戦 |
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私の勤める国立天文台は、各地に観測施設を持っています。なかでもハワイの「すばる望遠鏡」は、128億8000万光年のかなたまで観測可能な、世界最大級の望遠鏡です。地球から最も遠い天体10個のうち9個が、この望遠鏡で発見されました。現在、日本・北アメリカ・ヨーロッパ、それに南アメリカのチリが協力して、富士山よりずっと高いチリの高原にもっと高性能な望遠鏡を設置する、アルマという計画が進んでいます。その望遠鏡を使えば、約130億光年の距離まで見ることができると考えられています。理論的には、約137億光年のかなたまで見ることができるはず。考え方にもよりますが、そこが「宇宙の果て」と言えます(写真:アルマの予想図)。 |
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仕事のなかでたいせつに思っていること |
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私は研究者であると同時に、この天文台の広報を受け持っています。広報を引き受けたのは、以前、天文台がまだ公開されていなかったころ、訪ねてきた高校生が正門で帰されてしまったのを見て、「研究もたいせつだけど、天体を愛する人々のために、天文台はもっと開かれたものにならなければ…」と思ったからです。天文学という学問では、アマチュアの愛好家が専門の学者とはちがった視点で興味深い発見をし、それを専門家が研究することで大きな成果が得られることが、しばしばあります。私は、アマチュアの天文愛好家のみなさんともよい関係を保ち、知的な楽しさを共有していきたい、と考えています(写真:広報用のパンフレットを持って)。 |
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天体が好きなみなさんへ |
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天文学は、「星が好き」というだけではできません。天文学には数学や物理学に近い面があり、数式の美しさやおもしろさに気づくような人が向いているようです。でも、小学生や中学生のみなさんなら、まずは星空を見上げたり、望遠鏡をのぞいたりして、感動してほしいと思います。天体観測には人工的な光が少ないところが適しているので、家族旅行や林間学校で山へ行ったとき、星空を見上げてみるといいですね。私は、今でも時々家族といっしょに自動車で山のほうへ走って、夜空を見上げています。いっしょに天文学を楽しみましょう。そして、将来、天文学者になりたい人は、夢へ向ってがんばってください(写真:毎月2回開かれる観望会のようす)。 |
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