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この人に聞きたい:JR東日本千葉支社長・梅原康義さん /千葉

 ◇ネットワークで勝負--楽しみ・快適・便利 路線網生かし追求

 二酸化炭素排出量の少なさから、環境に優しい乗り物として鉄道輸送が見直されている。一方で、県内では成田新高速鉄道の開通、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の延伸が予定され、鉄道の競合相手が増えると予想されている。県内の鉄道輸送の将来について、JR東日本千葉支社長の梅原康義さん(56)に聞いた。

 --千葉支社長に就任され半年余りが過ぎました。千葉の路線の印象は?

 ▼北は青森県から西は長野県まで、JR東日本には在来線6000キロ余りの路線網があり、千葉支社管内だけで約600キロと1割を占めています。営業距離が多いのは、県内の路線網が充実しているから。目的地への単純往復ではなく、一周ぐるっと回って来られるルートが複数あるのは、全国的にも珍しい。鉄道のネットワークを生かした商品を積極的に提案し、アピールしたいと考えています。

 --昨年末、両国-成東駅間で走らせたお座敷列車「東金号」(通称「居酒屋列車」)が好評でした。

 ▼「忘年会をしながら帰宅できる列車があれば面白い」と、部下と居酒屋で飲んでいた時にアイデアが浮かびました。両国駅ホームを改装し、食品衛生法に基づく許可を取って屋台でつまみを販売したりして、雰囲気を盛り上げました。千葉で下車して家路を急ぐ方ばかりでなく、終点の東金線成東駅まで車内で十分にお酒を楽しまれ、総武線に乗り換えて千葉駅まで戻るお客様もいたほどです。充実した路線網を生かせた商品だったと思います。

 --内房線浜野駅のホーム延伸工事が終了し、3月のダイヤ改正で総武線東京駅直通の快速列車が停車するようになります。

 ▼これまではホームが短く、15両編成の快速列車は通過せざるを得ませんでした。内房線で快速が止まらない駅は巌根と本千葉の2駅だけになりますが、いずれもホームが短い駅で、千葉駅発着の短い編成の列車のみ停車しています。

 同線の千葉行きに乗車するお客様のうち、千葉駅で降りるのは2割ほど。東京方面への列車に乗り換えるお客様が大半です。すべての駅に快速を止め、東京方面直通の列車本数を増やしたいのですが、ホーム延伸は莫大(ばくだい)な予算がかかるため、難しいのが現状です。

 --東京都内と成田空港を36分で結ぶ「成田新高速鉄道」が10年度までに開通します。既存の「成田エクスプレス」でどのように対抗しますか?

 ▼今秋以降に新型車両を投入し、居住性や快適性が格段に良くなります。現時点で編成数を減らす計画はなく、運行本数が減ることはありません。

 スピード面では大変脅威です。他の首都圏の駅との直通運転を増やすなど、ネットワークを広げて勝負できるのではないかと思います。県内に新たな(成田エクスプレスの)停車駅ができるとは考えにくいですね。

 --圏央道が10年度までに茂原など外房地域まで延び、外房線は東京湾アクアライン経由の高速バス路線との競合が想定されます。

 ▼アクアライン開通後、高速バス路線は毎年増便されています。鉄道は対抗できておらず、もっとダイヤなどで工夫しなければと思っています。

 外房線は上総一ノ宮駅より北側は東京への通勤客が多いため、朝夕の乗客が極めて多く、同駅より南側は県内利用や観光客が多い。両方の需要を特急「わかしお」だけで満たせているのか、考えています。

 --経営環境の激変期に、どのように乗客の利便性を図っていきますか?

 ▼千葉支社管内は、路線の両端に巨大な産業集積地があって、速く運べば稼げるというような地域ではありません。いすみ鉄道や小湊鉄道などとも協調し、たくさんの人にいかに利用していただけるか、さまざまな利用実態に合わせてダイヤを組むなど、勉強し続けるしかありません。【聞き手・寺田剛】

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 ■人物略歴

 ◇うめはら・やすよし

 1952年、東京都生まれ。青山学院大理工学部を卒業し、75年に旧国鉄に採用。JR東日本人事部、秋田支社総務部人事課長、八王子支社総務部長などを経て、08年6月から現職。

毎日新聞 2009年2月3日 地方版

 
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