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浅間山:噴火 農作物にも降灰 成分分析し出荷適否判断へ /群馬

 浅間山(2568メートル)が小規模噴火した2日、県南西部の富岡市と下仁田町で、特産品の下仁田ネギや出荷時期のホウレンソウなど農作物への降灰が確認された。灰は少量で、成分を分析したうえで出荷できるか判断する。一方、ふもとの嬬恋村ではスキー客や温泉宿泊客にキャンセルが出始めた。農業や観光業界に「風評被害」への懸念が広がっている。【伊澤拓也】

 前橋地方気象台によると、藤岡、富岡、安中の3市、下仁田、甘楽の2町で少量の降灰が確認された。北西の風が吹いたため南西部に集中している。長野原町や嬬恋村に被害が集中した04年の中規模噴火と対照的な影響が出た。東京都内などに比べ降灰の量が少なかったのは、噴煙が一時2000メートルまで上がったうえ、気流に乗ったためという。

 県技術支援課のまとめでは、富岡市と下仁田町で栽培する下仁田ネギとホウレンソウ、同市ではそのほかコマツナとブロッコリーに降灰した。両市町を合わせた栽培面積は下仁田ネギが131ヘクタール、ホウレンソウが10ヘクタール。富岡地区農業指導センターが灰の成分を分析しており、結果を待って商品として出荷できるかを判断する。

 下仁田ネギはほとんど収穫後で、被害に遭ったのは今年末に収穫予定の新しい苗だ。近くで見ないと分からないぐらい付着した量は少ないが、灰の酸性が強いと土壌消毒の必要が出てくるという。下仁田町農林建設課は「きちんと中和すれば商品として問題ないと思う。ただ、特産品なのでこんなことがあると風評被害が心配」と懸念する。

 ホウレンソウは現在、出荷のピークを迎えているが、両市町の2日の出荷分は灰が付着したため収穫を見合わせた。富岡市では吉田地区の降灰が深刻で、3日も市内全域の被害を再確認するという。嬬恋村は風向きの関係で降灰がほとんどないうえ、特産のキャベツ畑などはほぼ雪で覆われているため被害はなかった。

 ◇県、気象台から説明受ける

 県庁では、県や県警の担当者が集まり、前橋地方気象台の担当者から説明を受けた。

 同気象台の今井敏之・火山防災官が、ここ数日の火山性地震の状況や噴火後の降灰状況などを、データを示して説明した。そして、「浅間山周辺の農作物は雪をかぶっていて被害がない」「灰が1センチ以上積もると車のハンドルを取られる可能性がある」「車に積もった灰は水で流す。いきなりワイパーをかけると傷になる」などとアドバイスした。

 県は今後も活動状況を注視し、必要があれば警戒本部を設置する。【塩崎崇】

 ◇業界、観光への影響懸念

 一方、噴火が観光へ与える影響を懸念する声も高まっている。財政の多くを観光に依存する嬬恋村では、スキーと温泉でこの時期に最も多くの観光客を見込んでいる。入山規制が長引けば「危険」というイメージを払しょくできず、観光客離れが進む恐れがある。

 火口から約20キロの距離にある「パルコール嬬恋リゾートホテル」(嬬恋村干俣)では、今週末までの予約のうち約10件がキャンセルされた。噴火そのものへの不安に加え、有料道路「鬼押ハイウェー」が一部区間で通行止めとなったことで足が遠のいたようだ。

 この時期の週末はほとんど満室だが、今週末は空き室が出る可能性があるという。フロント担当の男性(28)は「自然が相手なので何もできない。これが続くと不安になる」と声を落とした。

 噴煙は落ち着いたものの、警戒体制はまだしばらく続く。村総務課も「村内は降灰もほとんどなく、実質的な被害はないが、風評で観光客は減っていく。これからどう影響が出るか、非常に心配」と話している。

毎日新聞 2009年2月3日 地方版

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