「早く終息してほしい」−。浅間山が二日未明に噴火し、火山灰が県南西部や首都圏に広がった。噴火は小規模で、現段階で大きな被害は確認されていないが、下仁田町などでは下仁田ネギやホウレンソウに降灰し、影響が懸念される。浅間山麓(さんろく)で警戒対象地域の嬬恋村では職員が対応に追われた。観光や農業が基幹産業の同村や周辺自治体の住民からは終息を願う声が上がった。 (神野光伸、山岸隆)
嬬恋村の災害対策本部は午前七時に噴火発生を防災無線で村民に伝えた後、職員四人が二班に分かれ、被害確認のため村内を巡回。村によると、村内に降灰はなく、農作物の被害もないという。小中学校も平常通りの授業を行った。
担当職員は「役場の監視モニターで火口が赤くなったので噴火に気付いた。噴火の音はまったく聞こえなかった」と説明。「住民は慣れているので動揺はない」と話した。
村観光協会には道路の通行規制について数件の問い合わせがあったが、旅館など宿泊のキャンセルはなく、吉田勝事務局長は「噴火で客足が遠のくことはなさそうだ。影響はないだろう」と冷静に受け止めている。
村内の観光客数は年間で約二百三十万人。噴火に伴う風評の影響が懸念されたが、村内の宿泊施設は通常通り営業。スキー場などレジャー施設にも影響はなかった。二〇〇四年九月の中規模噴火では激しい音で宿泊をキャンセルする観光客もいたという。
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