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食害起こすバッタの大変身、関連物質判明 米科学誌

2009年2月3日3時1分

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写真いずれもサバクトビバッタ。群れをつくって食害を起こすもの(左)は黒っぽく、単独行動を好むもの(右)は緑色。これらは1921年までは別の種だと考えられていた=トム・フェイル氏提供

 【ワシントン=勝田敏彦】ふだんは無害なバッタの仲間が大群となって食害を起こすとき、神経系でセロトニンと呼ばれる物質の濃度が3倍に上昇していることがわかった。セロトニンは人間の脳にもあり、精神活動に影響する物質。ケンブリッジ大など英豪チームによる論文が、米科学誌サイエンスに掲載された。

 バッタの仲間サバクトビバッタは本来、単独行動を好む。しかし、エサが少なくなると残ったエサを求めて集まり、大群となって農作物などを食い荒らしつつ移動し始める。途上国で食糧問題の原因の一つになっている。

 体色も緑から黒っぽく変わる「変身」は、お互いの体が接触するほど近くなると起きる。研究チームはバッタの後ろ脚の近くを刺激し、変身が2時間ほどで起きるのを確かめた。この時、神経系でセロトニンの濃度が3倍になった。セロトニンの作用を人工的に止めると、バッタは刺激しても変身しなかった。

 研究チームの英オックスフォード大のマイケル・アンスティー博士は「ジキル博士とハイド氏のような変身の裏には、こんな変化が神経系にあった」と話す。

 セロトニンは動植物に広く存在する。人間ではうつなど精神疾患との関係もわかっており、セロトニンの再吸収を阻害する物質などが抗うつ薬として使われている。

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