懲戒処分などを巡る裁判で一部敗訴した判決文をインターネット上に掲載された病院運営の医療法人(長崎市内)が、名誉などを棄損されたとして、掲載した全国一般長崎地方労働組合(松尾和昭執行委員長)に、約700万円の損害賠償などを求める訴えを長崎地裁に起こしていたことが分かった。判決文のネット掲載が名誉棄損かどうかを争う訴訟は珍しい。
提訴は1月7日。訴状では、組合は08年6月29日~同年7月29日、組合ホームページ上に同年6月26日に福岡高裁が出した、損害賠償と懲戒処分無効確認を求めた控訴審の判決文を、当事者名や個人名などを伏せずに全文掲載したとしている。
医療法人は「患者や家族が同病院での治療に不安を覚えることは確実で、病院の名誉や信用が棄損されることは明らか。民事裁判が公開されているとはいえ、一線を画する違法な行為」としている。
組合は「判決内容は勝ち負けにかかわらず、支援してくれている人に知らせなくてはならない。ネットでの判決文掲載は名誉棄損にあたると思わない」と争う構えだ。【蒲原明佳】
毎日新聞 2009年2月3日 10時44分