どうも山本さんは戦争法に関する基本的な知識に欠けているようです。参考資料にも国際法関連の書籍は見当たりません。ろくに調べもしないで「そんな規定はない」言い切っちゃうのは度胸がいいというよりも無謀です。
そもそも国際法の規定により、便衣兵(ゲリラ)は処罰されるという前提があるからこそ、ハーグ陸戦条約にマルテンス条項が挿入されたのです。
ハーグ陸戦条約の第一条では、捕虜として保護される条件として戦闘行為従事者であることの表示が必要とされました。具体的には制服の着用やワッペンやゼッケン、腕章などの固着の標章の着用が必要とされたのです。
徴兵制が整備された大国は、制服着用の正規軍・常備軍が戦闘の主力になるので問題はありません。しかし大規模な常備軍を持たない(便宜的な意味での)小国は、武装市民による国土防衛(つまりゲリラ戦)を想定していた為に第一条はハーグ会議で大きな争点となりました。大国と小国の利害関係を調整する妥協案としてマルテンス条項が挿入されることで条約は成立したのです。
締約国はその採用してる条規に含まれざる場合においても、人民および交戦者が依然文明国の間に存立するの慣習、人道の法則および公共良心の要求より生する国際法の原則の保護および支配の下に立つことを確認するを以て適当と認む。締約国は、採用せられたる規則の第一条および第二条は、特に右の趣旨を以て解すへきものなることを宣言す
(マルテンス条項より抜粋) |
これは小国側の要望を取り入れたものなので、第一条および第二条に含まれない場合、つまりゲリラ兵であっても、なるべく人道的に扱いましょう。要するになるべく捕虜として扱いましょうという内容として理解されていますが、この前文により条約の内容が修正されるわけではないので、ゲリラが国際法上合法の存在となるわけでもなく、ゲリラに捕虜資格が認められるわけでもありません。条約前文に法的拘束力はないのです。下記(※2)参照のこと。
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