2009年02月03日 06:00 [Edit]

この記事をクリップ! newsing it! Buzzurlにブックマーク b.hatena.ne.jp/entry GDPを一日で倍にする方法(の耐えられない軽さ)

それでは、私めがGDPを倍にして見せましょう。

2009-02-02 - こら!たまには研究しろ!!
というわけで
経済成長=一人当たり実質GDPの上昇
というところから出発しましょう.

以下のとおりにすれば、GDPはすぐに倍になります。


  1. まずは、お隣どおしペアになって下さい。
  2. お隣の家事を全てやってあげてください。
  3. それに対してお金を払ってください。

これだけです。

3.においていくら払うべきかですが、これは年間1,200万円とします。月100万円、わかりやすくていいですね。え?多過ぎる?そんなことありません。salary.com によると、合州国における家事の値段は年間$116,805だそうです。日本がそれに劣るわけがありませんよね。え?そんなに払えない?、大丈夫です。あなたの家事を全てお隣さんに面倒見てもらった代わりに、あなたもお隣さんの家事をすべて面倒見てあげたじゃないですか。同額がそっくり返ってきます。ネットではゼロ円です。

しかし、グロスではどうなるでしょう?日本の世帯数は2005年時点で4,906万世帯。これに1,200万円をかければ、589兆円。あっという魔にGDPは倍になりました。

もっと楽をすることも出来ます。どうせ同じ家事をこなすなら、お隣のではなく自分のうちの家事を、お隣に代わってやったことにして、お金だけお互いに払えばいいのです。ネットでは0円ですから何の気兼ねもありません。こうなるとお金を動かすのももどかしい。領収書だけ交換することにしましょう。

言葉遊びですって?でも、GDPですよね、Gross Domestic Productですよね?だとしたら以上はGDPを倍にする完璧な方法ということになります。

国内総生産 - Wikipedia
原則として国内総生産には市場で取引された財やサービスの生産のみが計上される。このため、家事労働やボランティア活動などは国内総生産には計上されない。

そう。GDPで経済を計る際の一番の問題というのは、自分が生産して自分が消費するものごとを無視してしまうことになります。私が自分のためだけにプログラムを書いてもビタ一文動きませんが、そのプログラムを誰かに作ってもらえばその代価分動くことになります。私が得ている効用は同じなのに、前者ではゼロ円、後者ではプラス円。ましてやオープンソースとか言って私が書いたプログラムをみなさんが使えば、それはマイナス円ということになってしまいます。経済界のみなさんごめんなさい。

まじめな話、不景気になると外食や旅行が控えられたりしますが、その分の効用がそっくりどこかに消滅してしまうわけではありません。自炊や屋内での遊びという形で「お隠れ」になってしまうだけなのです。もちろんそれが「同額」というわけではないでしょう。外食や旅行の方が楽しいかも知れない。しかしGDP上は、世帯内に「引きこもって」しまった経済活動は存在しないことになってしまうのです。

しかし、無償で「自家発電」しようが有償で「売買電」しようが、効用を手に入れている以上どちらも経済には違いありません。経済成長というからには、「引きこもり分」もきちんと計量しなければならないはずです。

さもなければ、上の「詭弁」は詭弁ではなくなってしまいます。

で、改めて質問です。

  • 「なんだか僕らは年率2%くらいで要領がよくなってるみたい」が100年続くと7.24倍になります。2000年における日本の一人当たりGDPは、PPPベースで25,274ドルだったので、2200年には18万3000ドルということになりますが、それでも経済成長がないとパイのスライスの大きさが十分にならないのでしょうか?
  • さらに1000年経つと、398,264,652、すなわち四億倍ということになります。西暦3000年、一人当たりGDPは10兆ドルということになりますが、これは現在の日本全体のGDPの倍です。1000年後の我々は一体何を買えばいいのでしょう?
  • 別の言い方をすると、1000年経てば四億倍要領がよくなっているわけですから、今の人たちが一年かけてやっている仕事を、未来人たちは1/30秒ほどでこなすことになります。時間を逆方向にたどると、平安時代の人々が一年かけてやっていた仕事を我々はTVの1フレーム内にやらねばならないということになりますが、古代人(ってほど昔じゃないけど)はそんなに要領が悪かったのでしょうか?
  • 結局のところ、経済成長って、本当のところどうやって計るべきなのでしょうか?「計れない分はなかったことにする」では駄目ですよ。

考えれば考えるほど、経済成長という言葉が人月神話と重なってしまうのですが....

Dan the Economic Animal


Posted by dankogai at 06:00 │Comments(7)TrackBack(0)

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この記事へのコメント
やったら税金が…。
Posted by koko at 2009年02月03日 06:56
GDPという言葉を初めて知った中学生みたいな発想だな。w

Posted by at 2009年02月03日 07:06
この人は「当たり前のことを当たり前に考える」を押し切る屁理屈力が凄い
Posted by name at 2009年02月03日 07:46
GDPのマイナス成長もあるから、エントリみたいに天文学的に要領が良くなり続けるって事は無いかもなぁ。
あと遣唐使が命がけだった事を考えれば、現代の中国から大量の製品を輸入している姿はまさしく、1年の仕事=1/30秒は実現してるかも。
Posted by ぽぽん at 2009年02月03日 08:23
>時間を逆方向にたどると、平安時代の人々が一年かけてやっていた仕事を
>我々はTVの1フレーム内にやらねばならないということになりますが、
>古代人(ってほど昔じゃないけど)はそんなに要領が悪かったのでしょうか?
そう思いますよ。

平安時代の人間に本州と北海道の間にトンネルを掘れといっても,
彼らの技術では一万年たっても完成しないでしょう。

アメリカの人間に手紙を送ると,つくのに何十年かかるでしょうか?
いまは電子メールで数秒ですね。

インドからヨーロッパに胡椒を運ぶにしても,馬でえっちらおっちら運ぶのと
コンテナにつめて船で運ぶのでは,効率は1億倍ぐらい違いません?
Posted by tnk at 2009年02月03日 08:24
すでに書いておられる人もいますが、隣同士で領収書を交換し合っても、払う税金が増えるだけなので誰もそんなことしません。

オープンソースでプログラムを書いたものを誰かが利用してそれで効率が上がれば、時間当たりの生産性は増えるでしょう。これはマイナスどころかプラスです。

>経済成長って、本当のところどうやって計るべきなのでしょうか?
結局のところ今の方法で「計れない分」はあるとしても、十分使えるものじゃないでしょうか。最後の一行は何がどう重なるのかわかりません。
Posted by ちゅう at 2009年02月03日 09:05
そう、税金で大損ですよ…
 
まぁ言いたいことはわかる。
Posted by やぶさ at 2009年02月03日 09:06