子どもの“ケータイ漬け”による弊害が言われて久しい。就寝中もケータイを握りしめ、メールを待っている子どもがいるという話も聞いた。
子どもにとってケータイは、電話機というよりメール利用やインターネットにつながる万能の情報端末なのだ。日本は子どものケータイ利用が世界で最も進んでいる国(藤川大祐著「ケータイ世界の子どもたち」)という。
文部科学省が、小中学校への携帯電話持ち込みの原則禁止を都道府県教育委員会などに通知した。緊急の連絡手段などやむを得ない事情があれば、保護者に許可申請させることも求めている。
文科省の昨年の調査では、小六の26%、中三の58%が携帯電話を持っていた。原則禁止令の背景には、携帯電話を使った「ネットいじめ」や犯罪被害が後を絶たない実態があげられよう。
昨年十二月には橋下徹大阪府知事が学校への持ち込みを禁じるアピールを出し、政府の教育再生懇談会も原則持ち込み禁止を提言していた。しかし、学校にいる間だけ携帯を取り上げても、問題解決にはなるまい。トラブルは学校外で起きているのだから。
欠かせないのは、情報モラル教育の指導徹底や家庭での利用ルールづくりだろう。子どもたちを“ケータイ漬け”から救い出す大人社会の取り組みも問われている。