2009年からプロ野球独立リーグとして発足する関西独立リーグ。その中でもプロ野球初の女子選手を獲得して注目を集めた「神戸9クルーズ」が本学4回生の北村祐(右投左打・内野手)をドラフト1位指名した。自他共に認める、走・攻・守3拍子そろった万能プレーヤーだ。
京都外大西高3年時に夏の甲子園を経験。2回戦で、現在西武で活躍している当時横浜高の涌井と対戦したが負傷していたこともあって、「何もできずに負けた」。その後、「体育の教員免許取得のために」と、他大学からのオファーを断り本学に入学。野球部入部後、1年生からレギュラーとして試合に出場し、京滋リーグ1部昇格の原動力となった。
11月2日から3日間神戸スカイマークスタジアムで行われたトライアウトには高校生から社会人まで幅広い年齢層の選手が参加したが、北村のセンスは飛びぬけていた。「3日間調子がよかった。走攻守でアピールできた」と振り返るが、その北村にとってもまさかの1位指名だった。結果を電話で通知された際に、「みんなに1位だと言っているのでは」と疑ったほどだ。京滋リーグの今季は、終盤リズムを崩し、シーズンを通しての結果を残せていなかっただけに、トライアウトをベストの状態で力を出し切れたことが「何よりもうれしかった」。
父親が野球、母親もソフトボールをしていたこともあり、3歳から自然とボールと慣れ親しんだ。小学3年生の頃から真剣に取り組んできた野球と向き合い高校・大学も順調な野球人生を歩んできた。独立リーグへの挑戦も「野球を続けたい」の一心からだ。「プロとしての意識を持ち、やるからには上を目指す」と意気込む北村の顔は自信にあふれ、誇らしげだ。
びわスポからのプロ選手誕生は、一期生でサッカーのJ1ヴィッセル神戸に入団した近藤岳登以来2人目。野球でプロといえば、セ・パリーグだけだと思われがちだが、近年プロの独立リーグが設立されている。四国・九州の「アイランドリーグ」、北信越の「BCリーグ」に続き、関西にできたのが、「関西独立リーグ」。インターネット・メディア会社「ステラ」が運営母体となり、来春、和歌山・大阪・神戸・播州に拠点を置く4球団でスタートする。将来的には京都・滋賀・奈良を含めた8球団でのリーグ運営を目指している。
神戸9クルーズの監督は元阪神タイガースの中田良弘氏が就任する。他にも、就任するコーチは元プロ野球選手ばかり。新生の「神戸9クルーズ」で北村は歴史的な第一歩を刻むが、夢はさらに大きく膨らむ。独立リーグで力をつけ伝統のプロ野球へのステップアップである。「セ・パ12球団にぜひ挑戦したい」