「できる人とはどんな人か?を探る」採用の超プロが教えるできる人 できない人、のレバレッジメモ _読書no.002
最近仕事のできる、できないとは何か?なんて本質的なことを再度考える機会があったので、昔読んで感銘を受けた「採用の超プロが教えるできる人できない人」を再読しました。メモに残しておいて再読したい箇所多数です。
(レバレッジ・メモを書く経緯についてはこちらから。)
*まだメモ取りに慣れていないので、量が多くなりすぎました。運用する中で量を減らしていけるようにする必要がありそうです。下記内容はアイカワが読み返すうちにどんどん削られていく予定ですので、必要な方はお早めにローカル保存or印刷をしておいてください。
以下、この本のレバレッジ・メモ。
サンマーク出版 (2006/03/02)
売り上げランキング: 2688
○はじめに
・「仕事ができる人」に少しでも近づきたいと考えているなら「変わろうとすること」。
・成長とは変化すること。小さなアオムシが大きなアオムシになるのは成長とはいえない。なぜなら能力に大差がないから。蝶になり、空が飛べるようになること、それが成長。
・表面的な知識や小手先のノウハウを増やしても、それは大きなアオムシになるのと同じ。大事なのはあなた自身が変化するかどうか。
○「できる人」「できない人」にまつわるカン違い
・「できるだけ」人件費を抑えたい。世界一、人件費の安い会社にしたい」が会社を滅ぼす。日本一優秀な人材が集まっている会社の人件費は、当然、日本一高くあるべき。つまり、人件費を増加させなければならないという事態は、できる人間が増えてきた「喜ぶべき事態」。
・いい人材=入社して2,3ヶ月で給料分以上の働きをする「黒字社員」となる人材。
・できる人が辞める会社は最低だと認識しなければならない。会社が目指すべき大前提は、できる人間が辞めないこと。そのためには、彼らの実力を正当に評価すること。地位の向上もあるが、端的には報酬のアップを。
・公文式の基本は、本人の実力より少しだけ上の問題を与えること。達成感と同時にやや上の問題に挑戦する楽しみや意欲を養う。この基本は企業教育にも通じるが、それを実践している企業はまれ。
・多くの社長達は「公文式」と逆を行い、「100の力を持っている社員に100w超える仕事をさせたら、仕事の質が落ちる」と言う。100の力の社員に90の仕事を一年間続けさせると、一年後彼の力は90まで落ちている。逆に120の仕事を与えたら、1年後120をこなしているはずだ。目標設定を「実力のやや上」というあたりに置くこと。恐らく20パーセント上乗せぐらいが適当。
・成功するには「人一倍の努力」と「少しの才能」の両方が必要不可欠。
・カツノリは古田になれないが、古田はカツノリになる可能性はあった。環境がなければ才能は開花しない。環境があったのに、カツノリが古田になれなかったのは、素材の違いにあった。
・人材をパターン別にわけると「仕事ができる経験者」、「仕事ができる未経験者」、「仕事ができない経験者」、「仕事ができない未経験者」の4つ。
・「仕事ができる経験者」は人材マーケットにほとんど流れない。「仕事ができる経験者はよほどの事情がないかぎり、辞めようと思わない」、「待遇面でも恵まれているので不満がない」、「辞める時にはたいてい次の職場がきまっている」という理由から。
・いい人材が欲しいという経営者は「経験豊富な人」、「元気があって声が大きい人」等あるが、いい人材とは「仕事ができる人」、「会社に利益をもたらす人」であって、「元気で仕事ができない人」ではない。「元気がいい人」を採用の基準にしてはいけない。
・「仕事ができる、いい人材」というのにもランクがある。まず、企業が要望する仕事を正確に理解し、期待どおりにこなすことができるというレベルの「できる人材」(企業に約2割)。さらにワンランク上の「自分で仕事を作り出せる人間」もいる。言われたことを完璧にこなす優秀な人材が何人いても、仕事を作り出す人がひとりもいないと会社は成長できない。ビジネス自体を作り出せる人間がどれだけいるかが、100人以上の会社をつくるためには必要。
・中途採用で応募していくる人の大半は、「後ろ向きの理由」で前の会社を辞めていることが多い。
・日本の転職マーケットにやってくる人材のほとんどが、ピラミッドでいえば、底辺に近いところにいる。
・企業が重視する能力は、1に明晰な頭脳、2に行動力、3に向上心・責任感。
・不況を脱するためには、確実に利益をもたらしてくれる人材を増やす以外に方法はないし、不況であればあるほど、そういう人材は「売り手市場」にいるということを自覚しなければならない。少子化で人材が減っても、少数のおいしいリンゴを求めての争奪戦は変わることなく繰り広げられる。
・「能力がまったくなければ育たない」という原理はあるが、素材がよくても、育たない場合があるということも否めない。
・素材がよい人を育てる環境とは、企業風土がいいこと、教育制度を設けること、評価制度を作って仕事への意欲を高めることなどいろいろできるが、素材の周りに配置する人材が重要。素材をリードする立場にいる人間が彼に与える影響はきわめて大きい。
・伸びる素材を持って入ってきた新入社員の周囲に配置すべきは、「よい習慣を身につけている人材」。向上心、責任感、実行力を備え、なおかつ努力している人材。「まだまだ足りない」という自覚を持って仕事に取り組んでいる人間。
・伸びる企業とは、できる人材を社内に多く持っているか、圧倒的なビジネスモデルをもっている企業。
・企業がのびていくためには、人材の質か、オペレーションシステムかのどちらかが必要。
・人材が「どこでも欲しい人」と「どこからも求められない人」に二極化。
・企業も「誰もが入りたい会社」と「誰も入りたくない会社」に二極化。
・いい人材がきてくれるシステムを作ればいい人材は来る。そのシステムとは、働きやすさやモチベーションが上がるような環境、待遇面の向上など。待遇面より大事なものとは、たとえば、経営者のもつ魅力的な経営哲学や、働きやすいオフィス環境など。人からいい会社だ、かっこいい会社だと言われたい。愛社精神はそういうところから生まれる。
・社員の会社への満足なしに顧客の満足などありえないと断言する。社員は、自分が満足して初めて、客にも心のこもった対応ができる。
・できる人材であればあるほど、五感が敏感で、自分の持つ感覚すべてを使って会社を値踏みする。
・できる人材に来てもらうためには、ワンマンも決して悪くない。社長の個人的な魅力か、あるいは会社の将来性やビジョンで引っ張るしか方法はないからである。
○これが「できる人」の本当の基準
・経営者の多くは、人材に向き不向きがあることに意外と気付かない。よくあるのは勘違いに頭がよければ何でもできると思っている、こと。頭のよさはもちろん不可欠の条件だが、商品開発、マーケティング、営業などで頭を使う方向はそれぞれ違う。
・人材には育つ人材と育たない人材がある。新卒でも違う親から生まれ20数年間それぞれの環境で生きてきているので、素材として違うのは当たり前。
・学歴が全くない人間はいい人材でない、という共通認識はある意味で正しい。そこには確立の問題が横たわっているからだ。学歴がよくないと、できる人材も少ないという現実がある。それを選び出す手間を考えれば、大勢の応募者が殺到する大企業が、ある程度足きりするのもやむをえない。
・ただし、「学歴がある=いい人材」という公式は成立しない。「勉強の頭のよさと仕事の頭のよさは違う」のだ。子供のころから塾通いをしていれば、誰でもそこそこの学校には合格できてしまう。
・仕事ができる人材の頭のよさとは「素頭がいい」こと。素頭のよさは、「コミュニケーション能力」と「論理的思考能力」で判断できる。
・コミュニケーション能力の高い人は「聞き上手」であり「聞かせ上手」。
・コミュニケーション能力とは、右脳でインプットし、左脳でアウトプットできる能力
・最低限のレベルは相手が言っていることが理解できる段階。次のレベルは、言葉に出していないが、相手が抱いている感情を理解できる。さらに上のレベルは、相手が考えていることの、感情以外の部分がわかる能力。最終レベルにいる人間は、お互いが100%分かり合うのは不可能である、という前提にたっている。
・コミュニケーション能力を見抜くには、「会話のテンポによどがないか」、「自分が話している時に、相手の考えをつかんでいるか」が判断基準。
・面接時に重要なのは、学生自身が話をしているときの態度。コミュニケーション能力が高いと、「君の話長いよ」などと思っていることが汲み取れる。そういった学生は必ず相手の態度を見ながら臨機応変に話す。用意してきた話や的外れのことをひたすらしゃべりつづける学生は、コミュニケーション能力がない。
・論理的思考能力とは、商品開発とか、マーケティングなどができる能力。
・焼肉面接で、シミュレーション能力がはかれる。焼肉を黒こげのやまにしてしまう段取りの悪い人間は、仕事ができないと断定して間違いない。
・段取りがいい人間は、シミュレーション能力がたかいため、問題がおきる可能性を頭の中で予測して行動する。結果、常に先手を打つことができて、問題を回避できる。段取りの悪さは致命的。やっかいなことに、この能力はうまれつきのもの。
・「完成形を想像する能力」は、リーダーとして重要な条件。1年後、3年後、10年後、とその人間をどういう形にするかという完成形とそのプロセスが見えないと、リーダーとして失格。理想とする完成形を頭に想定し、それに沿った成長のプロセスをシミュレーションできなくては、部下に的確なアドバイスはできない。
・「とりあえず」で仕事を始めずに、明確なゴールを想像し、途中の過程が見えてから行動することを習慣付ける。
・ビジネスマンに必要な素質は3つ。「素頭のよさ」、「素直さ」、「エネルギー量」。
・仕事はやってみなければわからないことが多い。それをやる意味がわからなくても、ともかく言われたとおりにやってみようと素直さを持っているほうが、仕事の覚えもはやく、戦力になりやすい。素直な人材とは、「自分の価値基準を持っている人」。
・同じ価値観をもっているかどうかが問題なのではなくそれぞれの価値観のレベルがどれほど高いかが問題なのかがわかっている。
・エネルギー量の大小が本当にわかるのは、その人間のモチベーションの高さをはかったとき。「人生の目標のバーの高さ」。「人生の目標のバーの高さ」は他人が高さを変えてやることはできない。自分で設定したバーの高さは、自分で上げない以上、周りの誰も高くすることができない。
・将来社長になりたいと本気で考えている人間は、まずモチベーションが高い。
・バーを越える能力はもちろん必要だが、そのバーをしっかり高い位置に掲げられる能力があってこそ、個人はもちろん、企業の業績向上に繋がるのだ。
・一芸に秀でた人材は、自分なりの人生哲学を持っている。一芸に秀でるレベルのひとは、「○○になりたい」という気持ちを優先させ、さまざまなものを犠牲にしている。そこまでして打ち込んでいるからこそ、「自分は何のために生きているのか」という人生哲学にたどり着いていても不思議ではない。
・どのくらい仕事ができるようになりたいか、どのようになりたいかというのは、結局は自分がどう生きたいか次第。
・やりがいのある職種とか、やりがいのない職種があるわけではない。やりがいはその人がやる仕事の結果に、期待がかかっているときに生まれる。ボランティアに従事している人達がやりがいを感じるのは、彼らの仕事に寄せられる期待が大きいからだ。
・「責任感の強いやつだ」と感じる人間には共通点がある。親がとてもしっかりしていること。親の性格や価値観が、そのまま子供の性格や価値観を映す鏡になっている。
・大企業には大きな悩みがつきまとう。応募してくる人のほとんどが、安定志向の人材ということになるからだ。ただし大企業の場合は90%が安定志向の社員でも十分経営をおこなえるだけのノウハウができており、言われたことをまじめにやってくれる人材の採用をすればよい。
・しかし5%ぐらいは、社風に反する人が必要。はみだし者がいないと、会社は活性化されない。
・ほとんどの大手企業は採用担当に安定志向の人間を当てているため、安定志向があつまる。自社に興味のある人材から選ぶのではなく、こちらで選んだ人に自社への興味を持ってもらうことが採用の基本。
・自分は仕事ができなくても人の指導ならできると思っている経営者なり上司がいるとすれば大きな間違いだ。実際にできない人が教えるのは不可能。ナンバーワンとは言わないが、少なくとも上位5%ぐらいに入る人でなければ部下を持つ資格はない。
・仕事が遅いと言われたら、それは仕事ができないと言われているのに等しい。スピードとクオリティは比例する。
仕事ができるようになりたければ、まずスピードを身につけること。どんな仕事をするときにも、自分に負荷をかけて、時間と戦う。1週間かかると思える仕事を3日で終えるスケジュールを組む。そのスピードになれれば、当然ながら仕事は早くなる。
・短い時間で同じ仕事をこなせるようにするため、頭を使った工夫が必要になる。その頭を使った工夫こそが、仕事の質に繋がる。
・仕事のスピードの速さ=処理能力の高さ。
・ほとんど人は仕事をスタートしてから終了するまでの速さ、ととらえているが、重要なのは仕事をスタートさせるまでの速さだ。特に頭を使って何かを作り出す企画のような仕事において重要。
・仕事をスタートさせるまでの早さは即処理を習慣付けることで訓練できる。目の前の疑問や課題をあと伸ばしにせず、その場で答えを出そうとする。そうすれば、ウォーミングアップなしで仕事に取り掛かれる。
・処理能力を高めるために、「同時にいくつものことを考える」ようにする。そのためには素早く頭の切り替えを行うこと。厳密にその瞬間に考えていることはひとつだが、次の瞬間には別のことを考えている。初めは3つか4つの案件からスタートし、3ヶ月ぐらい続けると同時にいくつものことを考えられるようになる。
・みんなで考えることに価値はない。10人それぞれが1つの完成した商品をもちよって意見交換するならともかく、10人でひとつの商品を考え出すことに意味はない。みんなでやれば、自分の実力を露呈せずにすむという、できない人らしい発想。
・みんなで考えるといっても、実際に参加している人の大半は何も考えていない。それでいて、仕事をやっている気分は味わえるので危険。
・器の大きさもまた努力で身につくものではなく、20歳までの環境によるところが大きい。目先の利益に左右されるような器の地位さな人間はしっかり見抜きたい。
・器の大きさは過去のエピソードではかることができる。物事をどこまで長期的に考えているか、友達との関係やクラブ活動の参加の仕方、何に価値を置いて仕事をしているか、など。
・最終的にその人がどこをめざしているかで、器の大きさがわかってしまう。
・二年目のジンクスはおごりが招いた結果。
・イチローが活躍し続けるのは、彼の自己否定の考え方による。自分の力を十分と考えず、「まだまだ未熟」と考える。トップレベルのスポーツ選手によくある考え方。謙虚に自己否定しつづける。
・ビジネスの世界でも同じ。成績を維持し続けるには、自己否定の考え方が必須条件。
・自己否定とマイナス思考は違う。マイナス思考はやる前から、結果を悪い方向に予想すること。自己否定は現在の自分の力を否定すること。マイナス思考は過去から将来までの全部の自分を否定すること。
・「これまでの自分にはまだまだ満足がいかない」という事項否定は決して将来の自分を否定していない。「だからもっと努力して今以上を目指す」というプラス思考に転じていく。
・プラス思考は成功への鍵
・自己否定を習慣化するためには、自分をはかるものさしをもつこと。ものさしは10点満点でも5点以上をつけてはいけない。良い点がとれるようになってきたら、ものさし自体を伸ばして、自分につける最高点を5点にとどめておく。これを続けると永遠に自分に満足することなく努力し続けることができる。
・資格ばかりを集めるできない凡人。
・就職活動では「とりあえずどこかに入りたい」という気持ちがまず先にたって、「入ってからどういう仕事ができるか」というところまで考えない学生が多い。そこで「とりあえず資格」となるが、実際にはほとんど役に立たない。そういった勉強では、平均的な能力しか身につかないし、平均的な能力なんてまるで意味がない。
・これからのぞまれるのは、「普通の人では売れないものを売ることができる」ぐらいの営業力、「普通の人では作れないものを開発できる」くらいの企画力を持った人間。
・どんないい人材があつまっても、その会社がその人を生かすシステムを持っていなくては、宝の持ち腐れ。1つの企業の業績を上昇ラインへ持っていくのは、学生側にも経営者側にも努力が必要。
・仕事選びは、どういう人生を選ぶのかで決まってくる。何のために生きるのか、どんな生き方をしたいのかを考えなければ、仕事選びなどできない。
・仕事というものは多かれ少なかれ社会のニーズから生まれており、社会への貢献を感じることができる。その充実感が生きがいであるはず。
・仕事とプライベートを分けたがる人は、たいていの場合、「やらされ感」のある人だ。
・まずは仕事を全力でやること。望まれているレベルを超えれば、「やらされ感」から抜け出すことができる。
○この秘策で「できる人」をひきつけろ
・多くの経営者が間違えるポイントは、「資質」と「志向」の違いに気付いていないこと。「資質」とはその人が持っている能力で、「志向」とは学生側のニーズ。多くの企業は自社が求める資質面を問題にし、その資質が必要とアピールするため、学生側の志向が抜け落ちている。いい人材に来てもらうためには、相手の志向がどこにあるかをしり、それでひきつける必要がある。
・まず自社に興味を持たせて、入社したいという動機づけをさせ、つぎにその中から資質を見極めてターゲットを絞る。(まずは志向ありき。)
・中小企業の場合、世間的な企業イメージを持たれていないのだから、会社説明会での印象が命運をわけるのだが、多くの人事担当者は会社説明会を「会社の仕事内容を説明する会」と勘違いをしている。会社説明会は「会社のイメージをよりよく印象付ける会」であり、仕事内容を説明している場合ではない。どんな志向の学生をひっぱるかを考え、その志向に響く戦略を考える必要がある。
・会社説明会では、絶対に採用しないとわかっている学生にも、「いい会社だな」と思わせることが大事。一度でも会社を訪れた学生は、無意識に広告マンになってくれている。だからこそ、採用担当者にはコミュニケーション能力が必須。
・採用担当者や経営者にはコーディネート力も必要。独立志向が強い希望者に安定志向の先輩を当てると、まず入社させることができない。コーディネート力のある採用担当であれば、かならずそういう人間を用意する。
・相手があげてくる条件や志向のうち、どれが譲れないものなのかを見極め、その優先順位を考える努力をしなければならない。独立志向、安定志向、給料の多寡、週休何日、あるいは研究に没頭したいなど、将来像まで含めて、学生達はさまざまな条件や要望を出してくる。
・条件や志向を「マスト」と「ウォント」と呼んで、絶対に譲れないものを(マスト)と、そうでないものを(ウォント)に分けて接している。条件や志向がマスト、ウォントのどちらか知るためには、将来どうなりたいか、5年後どんな自画像を描いているかを聞く。
・おぼろげだったイメージをふくらませていくと、相手が絶対に譲れないと思っていたものがガタガタと崩れていく場合もある。「社長になりたい」と言いつつ、「でも休みは週二日はほしい」などと言う時に、どちらが優先するのかを問うと、「どちらも」と答える。「両方は無理」と言えば、本人は考え込み、社長になりたいという目標が「ウォント」であることに気付く。
・相手の未来像に自社を無理に合わせないこと。将来どうなりたいのかという、相手が絶対に譲れない線と、自社が目指しているものや5年後に用意できる環境を照らし合わせて「彼のマストはわが社で実現できる」という自身がない限り、口説いてはいけない。それはルール違反だ。
・できる営業マンが面接をする時に無意識に見ている資質は、「達成意欲」と「ストレス耐性」。長期的に見て戦力になれる人材、もしくは経営者に近いレベルの人材を求めようというのなら、達成意欲の強い、つまり人生の目標バーを高く設定している人材を選ぶ。しかし、入社2,3年目あるいはもっともっと短期的に業績をあげる営業マンがどうしても欲しいというのであれば、人生の目標が高い人材というよりは、「達成ぐせ」の身についている人材を採るほうが即効性がある。達成ぐせとは、自分でこうと決めたことや人に決められたことを、決められたようにやらないと気がすまないタイプ。
・「ストレス耐性」とは、プレッシャーに対する精神的な強さ。営業には欠かせない資質。
・面接の場で異常なほどしゃべる人間は、相手から突っ込まれることが怖くて防御心が働いてしまっている場合あ多く、ストレスに強いと言えないタイプ。ストレス耐性を調べるためには、面接の時に実際にストレスをかけてみるとわかる。所謂「圧迫面接」をやってみる。
・圧迫面接は相手のモチベーションを急速に下げ、入社意欲をなくす側面があるため、慎重に行う必要がある。十分に入社意欲を高めてから、圧迫面接をするとよい。
・ストレスに強いと、ストレスに鈍感は全く違う。色々な方法で、その場の空気がわかる人、つまり鈍感でない人を選び出さなければならない。
・他社に内定を受けている学生に対して、多くの採用担当者が犯す失敗は、「あそこへは行かないほうがいい」と言ってしまうこと。言われたほうの気持ちをますます他社に向かわせる結果とる。もし迷っているのであれば、他社をけなすことなく、自らその気をなくさせる方向にもっていかなければならない。
・その会社に行きたいという理由を消していく(気持ちを白紙に戻す)、白紙化という作業が必要。
・「商社はダメだ」というのではなく、「なるほど、商社に行きたいのか」と言ってみる。そして、理由を聞くと、「世界をまたにかけて大きな仕事がしたい」とか「得意な英語を活かしたい」と答えるだろう。それに対して、「海外に行きたいのであれば金融のほうがいける」等、相手の志向を打ち消すのではなく、広げてやる。第三の選択肢を与えると、相手は商社に行きたい理由がなくなり、自分の中にあったニーズが打ち消されていく。
・相手が白紙に戻って、自分が本当にやりたい仕事を見直し、「自分は何を根拠に会社を選んでいたのだろう」と考えたときを狙って、自社の魅力をアピールすればすくなくとも、耳を傾ける姿勢にはなる。
・簡単にもらった内定は、簡単に辞退する可能性が高い。待たされれば待たされるほど入社意欲は高まる。相手がいい人材であれああるほど、あせらずにぎりぎりに引き伸ばしてから内定を出すべきだ。
○「できる人」が仕事を変える!会社を変える!
・「できる人」こそ、官庁や大企業ではなく、ベンチャー企業に参加して、新しい日本の経済を担って欲しい。
・言われたことに耳を貸さない経営者の会社はもう終わっている。時代錯誤で人が離れていく。経営者の意識が今についていかないと、社員はやる気を失い、表情もさえなくなる。少しでもやる気を残している者は、もっとマシな環境を求め、外へ飛び出す。
・船が沈みかけたら、ネズミが外へ逃げていく。人材面から言うと前後が逆。ネズミが逃げていき始めたら船は沈む。人が逃げていくから、会社はつぶれる。
・ほとんどの経営者が事業を長期的な視野から見ることができない。昨日と同じことをしていては、売り上げがおちるのは当然。「顧客志向」、「顧客主義」にこだわるのは、マーケットの変化をいち早く感じているからに違いない。
・人間は考える葦であるという言葉があるが、考えるレベルを徐々に引き上げていくと、人間だれしもこれに当てはまるとはかぎらないようである。考えることは習慣。日常レベルにも頭を使う習慣があるかは人次第。
・いい会社とは社員1人1人が考える習慣を身につけている会社。それはトップなりリーダーなり指導者の指導の仕方におうところが多い。
・良く考えてやれ、絶えず工夫しろ、と言っている企業では当然社員も考えて行動することに順応していく。
・営業マンが売り上げ目標を達成するために必要なのは、「気合い」ではなく「ロジック」。なえず業績があがらないのかという原因を分析し、対策を練る。業績をあがえている企業は常にトップに位置する営業マンには、必ずロジックが存在する。彼は綿密な戦略を積み重ねて、絶対に勝てるロジックを組み立てている。「勝者のロジック」を身につけるには、ロジックで物事を考える習慣を身につけなればならない。
・論理的に分析する習慣。正しいロジックが組み立てられるようになれば、どんな仕事をやっても、必ず成果が出せるようになるだろう。
・1流といわれているスポーツ選手は、プロセスを重視。ただし、結果が悪ければ、評価はそれまでと割り切っている。1流選手がプロセスを重視するのは、「自分の限界」で戦っているから。手を抜かないでぶつかることを自己評価の基準に置いた人は、本物のプロセス重視の人間。
・結果を出せない人間は、一ヵ月後、一年後に、自分はどうなっているべきなのか、どうなっていたいのか、という設計図を描かないまま仕事をしている場合が多い。
・仕事に着手する前に、結果を咲きに出していくこと。そのために、今日、今、なにをすべきかを考える。それが「一年後に設定した目標」を達成するための設計図。仕事ができる人間は必ずと言っていいほど、結果から考え、それに基づいて熟考したあげく適切な設計図を持っている。
・設計図があってもそれがずさんであれば、いい結果は期待できない。適切な設計図を書くためには、想像力が必要。想像力とは、自分の何年後かの姿を具体的に想像すること。
・職場に理想の先輩がいたら、ぜひその人をしっかり見て、自分との違い、自分に不足しているもの、それを身につけるためにどうすればいいのかを考えることが必要。
・交渉の場において主導権を握るということは、言い換えれば、「その高尚を先に打ち切ることができる立場にある」ということ。業務提携などにおいては、「提携解消しても損害が少ないほう」が、当然のことながら、主導権を握ることになる。主導権を握るためには、相手側に、より大きなメリットを与える必要がある。しかし、主導権を握る=相手より少しでも多くのメリットを得る、と勘違いしている人が多い。
・利益さえ多く取ることができれば、それに勝るものはないと、主導権を握ることによって相手以上のメリットを得ようとする人が多いがそれはナンセンス。相手以上のメリットを受けた時点で、主導権は相手に移ってしまう。
・主導権を握れない営業マンの多くは、自分のメリット(自分の売り上げ)ばかりを考えている。主導権を握り、対等に話がしたいのであれば、もらった金額以上のメリットを相手に与え続けるしかない。「どうすればより多くのメリットを顧客にもたらすことができるか」を常に考える必要がある。
・だまされた直後は怒りで一杯になるが、一段落すると、相手のことを思う余裕も生まれてくるが、失敗の時と違い「その後の教訓にしろ」というには、割り切れないものがあるところが難しい。相手を信用しているからこそ、簡単に裏切れないような状況を用意しておくべきだ。
サンマーク出版 (2006/03/02)
売り上げランキング: 2688