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2009年1月8日(木) : 第13回新聞労連ジャーナリスト大賞、第3回疋田桂一郎賞決まる!
平和・民主主義の確立、言論・報道の自由などに貢献した記事・企画・キャンペーンを表彰する第13回新聞労連ジャーナリスト大賞と、一昨年新設された疋田桂一郎賞の受賞作品が決まりました。

今回の対象作品は昨年1月1日から12月末日までに紙面化された記事などで、柴田鉄治(元朝日新聞社会部長)、北村肇(週刊金曜日編集長)、藤田博司(元共同通信論説副委員長)、鎌田慧(ルポライター)の選考委員4氏による審査で選定されました。


ジャーナリスト大賞、疋田桂一郎賞の授賞式は、新聞労連第113回臨時大会二日目の1月29日11:30からTKP代々木ビジネスセンター1号館ホール15Aで行われます。

(会場住所)〒151-0053
東京都渋谷区代々木1-28-25
JR代々木駅より徒歩1分
都営大江戸線代々木駅よりA1出口より徒歩30秒


< 選 考 結 果 >

大賞 1件 

☆朝日新聞労組  
 朝日新聞志布志事件取材班
 鹿児島県警の暴走をめぐる一連の報道
(選評)
鹿児島県志布志市で起きた公職選挙法違反事件が、強引な自白の強要など県警の暴走によって生まれた冤罪だったことを調査報道で明らかにした。判決で被告全員に無罪が出る1年以上も前から若い総局員を中心に関係者への粘り強い取材を進め、警察権力に対峙し続けた姿勢は、特筆すべきジャーナリズム活動として評価できる。


優秀賞 1件

☆毎日新聞労組  
 毎日新聞クラスター爆弾取材班
 クラスター爆弾廃絶キャンペーン
(選評)
地雷同様に紛争後も罪のない市民を犠牲にするクラスター爆弾の廃絶に向けた息の長いキャンペーンを続け、その非人道性を訴えた。爆弾を「落とす側」ではなく「落とされる側」に立ち続けようとする記者たちの強い意思が感じられ、多角的な紙面展開は他のメディアの群を抜いた。


特別賞 1件

☆神戸新聞デイリースポーツ労組  
 神戸新聞「あなたの愛の手を」取材班
 「あなたの愛の手を」
(選評)
46年間、2000回以上里親運動を支える紙面作りを続けてきた仕事は、新聞が地域社会で果たす大きな役割の一つを示している。結果、1000人を超える子どもたちに里親が見つかったといい、継続する志に敬意を表したい。


疋田桂一郎賞 2件

☆毎日新聞労組  
 毎日新聞大阪本社学芸部 栗原俊雄さん
 戦艦大和・シベリア抑留体験者を追う
(選評)
戦争の記憶が遠ざかる中、戦艦大和の乗組員の生存者やシベリア抑留の帰還者の思いを丁寧に聞き出し、平和への思いや戦争の罪深さを読者に伝えた。過去が美化される風潮が広がる時代に大切な意味を持ち、入社13年目の一人の記者が取り組んだ仕事としても評価したい。


☆共同通信労組  
 共同通信大阪社会部 池谷孝司さん 真下周さん
 「『反省』がわからない―大阪・姉妹刺殺事件」
(選評)
少年時代に母親を殺害し、少年院の退所後に再び女性2人を殺害した死刑囚の人生を丹念な取材で追った。単に事件に至る背景を追うことにとどまらず、「人の感情がわからない」という「広汎性発達障害」や脳の機能障害と犯罪との関係に焦点をあてながら、犯罪防止に何ができるのかを模索した力作だ。


<補足資料>
新聞労連ジャーナリスト大賞は、1996年に制定されました。全国紙、地方紙を問わず優れた記事を正当に評価し、ジャーナリスト個人を激励するために制定した顕彰制度です。今年の応募作品は12(昨年は21)作品。

2007年から、同賞の中に「疋田桂一郎賞」が新設されました。新聞労連ジャーナリスト大賞の選考委員だった故・疋田桂一郎氏の「遺志を生かして」とご遺族から提供された基金に依っています。この賞は、「人権を守り、報道への信頼増進に寄与する報道」に対して授与されました。

お問い合わせ先:新聞労連・新聞研究部
電話 03−5842−2201

2008年10月27日(月) : 第26回JTC記者研修会開催される
講演・報告中の中山信一鹿児島県議(左)と朝日新聞労組梶山天氏 新聞労連新聞研究部主催の第26回JTC若手記者研修会が10月11日(土)〜12日(日)、東京・朝日新聞社内で開催され、50名が集った。今回のテーマは「当事者の声を伝える〜薬害、貧困、冤罪から〜」。最初に「母は闘う 薬害肝炎訴訟原告山口美智子の20年」を作成したRKB毎日放送ディレクターの大村由紀子さんと薬害肝炎原告団代表の山口美智子さんが、原告として実名を出して立ち上がった経緯や、番組作成時の話しなどを具体的にVTRを見ながら講演した。次に、非正規雇用労働者の現状について、東海林智さん(毎日新聞記者)や首都圏青年ユニオン・書記長の河添誠さんから、報告と問題点を話してもらった。鹿児島県志布志市で起きた冤罪事件については、当時朝日新聞鹿児島支局長だった梶山天さんから、調査報道のきっかけや、気を付けた点など具体的な報告を受け、鹿児島県議員の中山信一さんからは、当時の取り調べの様子や心境、マスコミへの要望を語ってもらった。二日目AMは来年5月から始まる裁判員制度について、陪審員の体験があるノンフィクション作家の伊佐千尋さんから、話を聞いた。午後は、4班にわかれて各自持ってきた記事についてデスクからアドバイスを受けるなど活発な意見交換が行われた。

2008年10月1日(水) : 第120回中央委員会で秋年末闘争方針を決定
新聞労連第120回中央委員会の全景  新聞労連第120回中央委員会は10月1日、東京文京区の文京区民センターで開かれ、「年末一時金の要求基準は基準内の3・6カ月」を柱にした08年秋季・年末闘争方針を決定した。また、9月から着任していた豊秀一本部委員長(朝日労組)と安田英之在阪副委員長(朝日労組)をはじめ、各地連・単組の役員改選に伴う新体制が承認された。
 新聞労連の08年度新体制が承認された後、豊秀一委員長は「これまで新聞労連は平和と民主主義を守る取り組みや、働く人の権利を守る取り組みを担ってきた。これらの先輩たちが掲げてきた旗を引き継ぎ、前に進めていきたい」と挨拶。また「各地を回ったときに聞かれるのは産業の危機やジャーナリズムの危機など厳しい話ばかりだが、内向きになってはいけない。権力をチェックし、弱者の声を拾うといった運動の先頭に立つのが新聞の労組だ。非正規労働者など生活を守れない人たちがいる今の時代だからこそ、労組が大切な役割を果たすべきだ」と述べた。
 続いて安田英之副委員長は「経営側は労働に対してコスト意識しかなく、働く者にしわ寄せがきている。年末一時金は労働の対価であることを再確認するとともに、人が人として健やかに生活を送れるような社会にしていこう」と挨拶した。
 その後、08年度の活動の指針について本部から説明。財政報告・会計監査報告の後、2008年秋季・年末闘争について、「08年夏の一時金と同様、基準内の3・6カ月」を指標とする方針を本部から提案し、拍手で一括採択した。
 決定した秋季・年末闘争方針の柱は以下の通り。
@一時金は未払い賃金の一部であるとの位置付けをさらに重視し、人件費削減を絶対に許さないA安易な合理化に反対し、非正規労働者や契約社員などの組織化への取り組みを強化するB産業政策研究を単組・地連の活動に生かし、新聞産業が抱える問題に全体で取り組むC「平和」や「民主主義」を守る取り組みを強化するD働くものの権利や環境の改善、いのちと健康を守る取り組みを強化する

2008年7月25日(金) : 第112回定期大会を開催
第112回定期大会の全景  7月24、25日に開催した大会は司会の東京地連・内田智祥副委員長(毎日)の進行で始まった。議事に先立って08年4月にくも膜下出血で亡くなった宮古毎日労組の下地直樹副委員長の冥福を祈り黙とうを捧げた。議長団に田戸宣雄(毎日)、宮内輝文(南日本)両代議員を選出、議事に入った。MICの井戸秀明事務局次長(民放労連)、日本ジャーナリスト会議(JCJ)の守屋龍一事務局長の来賓挨拶の後、嵯峨委員長が挨拶。
嵯峨委員長は「06年の大会で就任したとき、新聞産業が転換期であること、労働運動が危機を迎えていることのふたつの危機感を感じていた。労働組合は職場だけでなく、地域や産業全体に影響を与え、社会をより良くする存在でなければならない。産業の危機だからこそ『ユニオンに帰れ』といいたい。20〜30代の青年はもっと希望と誇りを持って新聞社で働きたいと思っているが、発言力も権限もない。だからこそ、そこに組合があるべきだ。転換期を生き抜くキーワードは『人』だと思う。ふたつの危機を乗り越えるために、産業政策研究会と検証会議の報告書を、議論するための出発点にしたい」と自身の2年間にわたる活動を総括した。
 検証委員の吉岡忍さんの特別報告の後、07年度財政報告を本部から提案し、採択された。続いて07年度実績批判を提案。元組合員の不当解雇闘争が労働審判で解決した株式従組、争議中の宮古毎日労組、会社再建闘争中の内外タイムス労組からの報告の後、産業政策研究会の研究員による特別報告があり、1年間の成果が報告された。
 続いて08年度の運動方針案と予算案を本部から提案。@賃金・労働条件を守るA非正規雇用者の組織化B時短やいのちと健康を守るC産業政策研究の充実D平和やジャーナリズムを守る――の5つの柱を中心にした方針に対して、代議員から取り組み強化を求める意見や、方針にもとづく活動報告など、2日間にわたってのべ16人が発言した。
 07年度実績批判と08年度運動方針案・予算案、大会スローガンを拍手で採択。役員改選では一倉副委員長、木部書記長の再任と、嵯峨委員長、本松副委員長の退任が承認され、08年度本部委員長、在阪副委員長は選出中となった。最後に会社との争議に奮闘している宮古毎日労組・山下誠前委員長の力強い団結ガンバローで閉会した。

2008年4月24日(木) : 第119回中央委員会で夏季一時金要求を決定
中央委員会の全景  新聞労連第119回中央委員会が4月24日、東京・水道橋の全逓会館で開かれた。討論では11人の中央委員が発言した。本部の春闘実績批判、夏闘方針案を承認し、産別統一スト権の解除と中央闘争委員会の解散を決定した。また、株式専門紙の株式新聞社従業員組合の新聞労連加盟が報告・承認された。
 中央委は小金井謙東京地連副委員長(日経)の司会で開会。議長団に宗森啓行(共同)、河野隆富(全徳島)両中央委員を選出した。
 嵯峨仁朗委員長は「言論・表現の自由を脅かす出来事があった。映画『靖国』が雑誌で反日だと書かれたことをきっかけに、公開前に国会議員が試写した。文化庁の助成金を受けているので議員が観ても構わないが、公開前に議員だけでということは公権力の検閲にあたる。映画館が自粛して次々に上映を中止した。新聞も同じになっていないか。自分自身の内なる敵に勝たなければいけない。
 今日の中央委員会では、春闘で勝ち取れなかった分の第2ラウンドとして、夏の一時金について活発な議論をお願いしたい」とあいさつした。
 続いて株式新聞社従業員組合(平口惠明委員長)の新聞労連加盟が報告・承認された。株式新聞社(東京・築地)は株式情報専門の日刊紙で発行部数は約3万部。08年4月に親会社のモーニングスター社(投資信託会社)に吸収合併された。組合員は50名。同社は賃上げもなく07年末一時金が支給されない状況で、労働条件改善や労使関係の正常化などを目指し、08年1月の大会で新聞労連加盟を決めた。新聞労連加盟は86組合となった。
 臨時大会(1月)以降の本部活動報告、財政報告、会計監査報告の後、春闘実績批判、夏闘闘争方針を提案した。夏闘では『3・6カ月』の要求を提案するとともに、生活防衛のため一歩も引かない闘争を進めていくことを確認した。
 一括討論では、九州地連、埼玉、東京、奈良、河北仙販、下野印刷、沖縄タイムス、内外タイムス、朝日など11人から発言があった。本部が討論をまとめ、春闘実績批判、中央闘争委員会解散および産別スト権解除、夏闘方針とともに一括採択された。最後に木部智明書記長の団結ガンバローで閉会した。

2008年3月24日(月) : 地方紙労組共闘会議ひらく
地方紙共闘会議に集まった組合員ら 新聞の拡大文字化を考える新聞労連の地方紙労組共闘会議が3月17、18日の2日間、東京都港区の共同通信社・汐留メディアタワーで開かれた。57年ぶりの紙面段数の変更は、情報量の大幅減少や紙面体裁の根本変更をもたらす。紙面の在り方を議論する余裕もないまま、拙速対応に追われる新聞業界に警鐘を鳴らす7項目の緊急アピールを採択した。
紙面の段数を15段から12段に組み替え文字を大きくする構想は、昨年末に内山斉・読売グループ本社社長が約60社に手紙を出して協力を求めたことから広まった。新聞労連の調べでは3月18日現在、25社が12段化に呼応し、25社が15段での文字拡大に移行する。
1951年の15段化と異なり新聞協会の主導性は失われている。会社の枠を超えた情報交換と対策を労連本部に求める加盟単組の強い要望を受け開いた。編集整理、広告、システム職場を中心に29組合60人が参加した。
事前に加盟単組アンケートを実施。労連非加盟を含めた56社の内訳は、12段化25社(1段12字12社、13字10社、字数不明3社)15段化25社(1段10字18社、11字6社、字数不明1社)様子見6社。15段社の多くは12段も視野に入れている。
会議では拡大文字の歴史、12段化の経過、広告業界の反応、各社対応を本部役員が報告。12段化準備の現況を秋田魁労組、15段化を中国労組がそれぞれ報告した。
2日目の分科会では参加者から「記事量は17%減るのに『情報量は変わらない』と偽りの社告を打っている」「社方針がコロコロ変わる」「準備期間が1ヶ月しかなく不安」「『文字が大きくなった』といっても内実は5種類の文字混在。読者不在で恣意的に使い分けている」「横見出しが太くなりニュースの価値判断が変わる。縦見出しばかり使いそう」「スポーツ組みはシステム上も限界」などの意見が出た。
最後に1)情報量の大幅減少、2)紙面体裁の根本変更、3)短期間の拙速準備、4)システム対応不備、5)広告サイズ異種並存、6)関係職場の労働強化、7)情報不足、現場にしわよせ―の問題がきちんと議論されないまま導入されていく現状に警鐘を鳴らす緊急アピールを採択した。

2008年3月21日(金) : 08春闘勝利!東京総行動
エール交換する各地連の代表者ら 08春闘勝利!東京総行動で学習、要請を繰り広げる
 新聞労連と同東京地連が主催する「08年春闘勝利をめざす東京総行動」が3月10、11日、「"非正規"を許すな!共につくろう新聞産業の未来」をメーンテーマに行われ、全国21単組から約70人が参加した。第1日は、中野麻美弁護士が「労働ダンピングと格差社会」と題して講演。派遣労働の緩和、格差と貧困の問題は「国の政策の失敗で、国会でも十分取り上げられていない」と厳しく批判。パート労働、派遣労働の低賃金の改善は正社員の問題として受け止め、取り組んでいく必要があると話した。続いて派遣ユニオン書記長の関根秀一郎氏が「派遣労働の現状と『ワーキングプア』の逆襲」を講演。日雇い派遣のフルキャストでユニオンをつくった経験を紹介し、会社側と労働条件の協定書を結び、無権利状態に近い日雇い労働者の権利向上の第一歩となったと説明した。その他、辛口トークで知られるコメディージャグラーのダメじゃん小出氏がパフォーマンスを披露。内外タイムスの渡辺高嗣委員長代行が経営再建の現状など報告し、東北、関東、東海、近畿、四国、九州、沖縄の各7地連代表のエール交換があった。翌日は朝ビラを行った後、新聞協会、厚生労働省、総務省(規制改革推進委)に要請行動を行った。

2008年3月19日(水) : JTC第25回記者研修会開催される
研修会の様子 新聞労連新聞研究部主催の第25回若手記者研修会「地方紙に学ぶ」シリーズが3月1日、2日の両日高知市内で開催され、沖縄から北海道まで50名を超える参加があった。初日、高知の新聞づくりについて社会部長の依光隆明氏から講演があり、詳細と具体例を同紙社会部の石井研氏が報告した。また、昨年末におきた香川県坂出事件を地元紙がどのように取材したかなどについては、四国新聞報道部の靭哲郎氏が報告した。二日目は愛媛県警から仙波敏郎氏、警察裏金問題を取材した愛媛新聞の清家俊生氏、高知新聞の竹内誠氏らによるシンポジウムが行われた。午後は4班に別れ、参加者が持ち寄った記事について意見を出し合う班別ディスカッションが行われた。

2008年3月3日(月) : 青年女性部全国学習集会開催
2日目のパネルディスカッションの様子  青年女性部は2月22、23の両日、香川県高松市で全国学習集会を開き、各地連単組から32単組100人が参加。「なんとかしなきゃ〜10年後も働くために〜」をテーマに、新聞業界の将来について考え、意見を交わした。 
 テーマ別に分科会が開かれ、A:組合運動の基礎、B:メンタルヘルスや出産、育児に関する課題、C・D:若者の新聞離れや広告収入、部数の減少に対する戦略−をテーマに議論した。
 2日目は4人の講師を迎えてパネルディスカッションを開催。佐賀新聞の牛島清豪氏はIT分野の視点から「ネットと対峙するのではなく、ツールとして使わない手はない」と話した。広告労協の藤井勝敏氏は放送局も含めた地域メディアの再編を見据え「新聞のメリットを最大限生かすべき」と助言した。河北仙販労組の小関勝也氏がウェブ時代の今も昔も変わらない販売体質に危機感を示した。共同通信労組の美浦克教氏は隠された事実を暴き社会に伝える組織ジャーナリズムこそが今後も新聞の武器になると力説。「自分たちにしかできないことがある。プロとして責任を果たそう」と呼びかけた。

2008年3月3日(月) : 第31回新研部長会議開催
「裁判員制度と報道」をテーマにした第31回新聞研究部長会議が2月7、8の両日、東京都文京区のホテル機山館で開かれた。各地から60人余りが参加。マンガ「家栽の人」原作者毛利甚八氏による基調講演やシンポジウムを通して、裁判員制度の問題点や事件報道のあり方など幅広い論点で意見交換した。

2008年2月1日(金) : 新聞労連第111回 春闘臨時大会ひらく
八重山毎日新聞労組に労連旗を贈呈 臨時大会は石井誠・東京地連書記長(報知)の司会で開会。議長団選出に続いて、マスコミ文化情報労組会議(MIC)の加藤豊副議長(全印総連委員長)から連帯のあいさつの後、嵯峨仁朗委員長が開会あいさつ。「新聞には3つの力がある。信頼・人材・企業の体力だ。経営者は信頼と人材を軽んじていないか。(ネットの台頭という)新しい環境に見合った体質に自ら進化を遂げていくことが大事ではないか。転換期は混乱するが、それを正すのが労働組合だと思う。経済闘争を粘り強く闘うとともに、新聞の近未来図を私たちからも提案していく。未来を創る春闘にしたい」と述べた。
 冒頭、八重山毎日労組の加盟が満場一致で承認され、松田良孝委員長は「組合員28人の所帯で、沖縄マスコミ労協には加盟していたが、全国と連帯を深めていきたい。契約社員とどう向き合っていくか、八重山という島々のなかで新聞はどうあるべきか、ともに学んでいきたい」とあいさつ。嵯峨委員長から松田委員長へ労連赤旗が贈呈され、新たな仲間の加入を祝った。
 その後、本部活動報告、第2四半期の財政・監査報告を承認。本部から07年秋季・年末闘争実績批判(中間総括)と、統一要求基準を柱にした08年春闘方針を提案し、討論に移った。
 初日の討論は、東京労組が契約社員の出張旅費協定化を求めていること、契約社員間の年収格差への取り組み、08年春闘では大卒・高卒の格差を含めた生涯賃金の是正を求める方針を報告した。読売3単組からは新聞産業政策やいのちと健康を守る取り組みの強化を本部に求めたほか、ナショナルセンター問題の議論を呼びかけた。道新労組からはグループ6単組で結成した道新労連の『窓を開けようプロジェクト』の取り組みと、その経過をまとめた冊子の紹介を行った。全下野労組は05年の印刷別会社・転籍争議の記録集作成について、琉球新報労組からは在日米軍基地移転問題および教科書検定問題への取り組みが報告された。、沖縄タイムス労組からは宮古毎日労組の経過を報告。相変わらず会社の不当労働行為が続いており、全国に支援を輪を広げる呼びかけがあった。
 また初日の会場内には、ジャーナリストらで構成する『ミャンマー軍による長井健司さん殺害に抗議する会』が署名ブースを設置、多くの代議員が署名に協力した。
 2日目は高塚役薦委員長(毎日)と三浦副委員長(時事)から全国役薦委員会の発足と現状報告があった。前日に引き続き行われた討議では、奈良労組の和田委員長から、会社が報奨金を一方的に支給した不当労働行為について組合の全面勝利和解報告とともに、支援に対するお礼のあいさつを述べた。内外タイムス労組からは再建闘争の経過を報告。東京地連は内外タイムスの現状を新聞労連以外にもPRする支援ビラ作成を報告し、共闘を呼びかけた。
 その後、07年秋季・年末闘争の実績批判と08年春闘方針を拍手で採択。中央闘争委員会の設置と産業別統一スト権確立は賛成多数で可決された。
 ジャーナリスト大賞の表彰式をはさみ、嵯峨委員長の団結ガンバローで2日間の大会を終えた。

2008年1月15日(火) : 労連ジャーナリスト大賞と疋田桂一郎賞 受賞作品決まる
選考委員会の様子 第12回ジャーナリスト大賞、
第2回 疋田桂一郎賞
選考結果について

 平和・民主主義の確立、言論・報道の自由などに貢献した記事・企画・キャンペーンを表彰する第12回新聞労連ジャーナリスト大賞と、昨年新設された疋田桂一郎賞の受賞作品が、決定致しました。

 今回の対象作品は昨年1月1日から12月末日までに紙面化された記事などで、柴田鉄治(元朝日新聞社会部長)、北村肇(週刊金曜日編集長)、藤田博司(元共同通信論説副委員長)、鎌田慧(ルポライター)の選考委員4氏の審査で選定されました。


< 選 考 結 果 >
大賞 2件 

☆琉球新報、沖縄タイムス両紙の「集団自決」問題キャンペーン

・琉球新報労組  琉球新報取材班
教科書検定問題に関する一連の報道
・沖縄タイム労組  沖縄タイムス「集団自決」問題取材班
挑まれる沖縄戦「集団自決」問題キャンペーン   
(セット受賞です)

☆朝日新聞労組  朝日新聞「新聞と戦争」取材班
 連載「新聞と戦争」


優秀賞 2件
☆熊本日日新聞社労組  熊本日日新聞 水俣病50年取材班
 連載「水俣病50年」

☆信濃毎日労組  信濃毎日新聞「必要か 青少年条例」取材班
 連載「必要か 青少年条例」など


特別賞 2件
☆関東地連  神奈川新聞、上毛新聞、埼玉新聞、茨城新聞、千葉 日報関東地方紙5社共同企画「風船爆弾 東へ」取材チーム
 「風船爆弾 東へ」2007年夏〜関東5紙共同企画

☆中国新聞労組 中国新聞こども新聞編集部
 定期連載「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」


疋田桂一郎賞 2件
☆毎日新聞労組 毎日新聞社会部工藤哲さん
 「離婚後300日規定問題」キャンペーン

☆全下野労組 下野新聞写真部近藤文則さん
 連載「死と向き合う医療―在宅ホスピス とちの木開設1年」


ジャーナリスト大賞、疋田桂一郎賞の授賞式は、新聞労連第111回臨時大会二日目1月31日に文京区民センター(3A)で行われます。

<補足資料>

新聞労連ジャーナリスト大賞は、1996年に制定されました。全国紙、地方紙を問わず優れた記事を正当に評価し、ジャーナリスト個人を激励するために制定した顕彰制度です。今年の応募は21作品。

昨年から、同賞の中に「疋田桂一郎賞」が新設されました。新聞労連ジャーナリスト大賞の選考委員だった故・疋田桂一郎氏の「遺志を生かして」とご遺族から提供された基金に依っています。この賞は、「人権を守り、報道への信頼増進に寄与する報道」に対して授与されました。

<選 評>

大賞 2件
 
☆琉球新報、沖縄タイムス両紙の「集団自決」問題キャンペーン

・琉球新報労組  琉球新報取材班
 教科書検定問題に関する一連の報道
・沖縄タイム労組  沖縄タイムス「集団自決」問題取材班
 挑まれる沖縄戦「集団自決」問題キャンペーン   
(セット受賞です)

文部科学省の高校歴史教科書検定で沖縄戦における集団自決について日本軍強制の記述が削除・修正された問題を追求した沖縄地元2紙の報道は、党派を超えて結集した沖縄県民の運動と一体となって時代を動かした。両紙の質量ともに充実した紙面展開は沖縄県民の怒りを県内ばかりか日本全国に発信するエネルギーがあった。とうとうと続いてきた教科書改ざんの動きを新聞と市民のスクラムを組んで押し返すという画期的な足跡を残した。


☆朝日新聞労組  朝日新聞「新聞と戦争」取材班
 連載「新聞と戦争」

新聞が自らの戦争責任を直視し、内部資料まで駆使して具体的に負の歴史を検証している。ジャーナリズムの役割を果たそうという記者たちの強い意思、志が感じられる。時代の空気やメディア状況が戦前と酷似し始めた現在だからこそ、大きな意義ある仕事となっている。


優秀賞 2件

☆熊本日日新聞社労組  熊本日日新聞 水俣病50年取材班
連載「水俣病50年」

世界の環境問題の原点といわれる水俣病50年を機に真正面から挑んだ大キャンペーン。水俣病を生んだ背景から、補償・救済問題、現在の若者たちの視点、さらに世界の現状までと縦横無尽な紙面展開によって、半世紀を過ぎた今も水俣病はなお終わらない問題であることを広く知らしめた。

☆信濃毎日労組  信濃毎日新聞「必要か 青少年条例」取材班
 連載「必要か 青少年条例」など

全国都道府県で唯一青少年条例を持たない長野県にあって東御市が制定を目指した青少年健全育成条例案に「有害」図書指定、淫行処罰規定が盛られている点について多角的に疑問点を指摘した。ともすると少数意見になりかねないスタンスであっても敢然と正義と信じる主張を続け、言論の自由をおびやかしかねない危険な側面にも光をあてた。


特別賞 2件

☆関東地連  神奈川新聞、上毛新聞、埼玉新聞、茨城新聞、千葉 日報関東地方紙5社共同企画「風船爆弾 東へ」取材チーム
 「風船爆弾 東へ」2007年夏〜関東5紙共同企画

関東地方5紙が提携して取り組んだ共同企画。埼玉産の和紙を群馬県のこんにゃく糊で張り合わせて気球をつくり、千葉・茨城の基地から米国へと放たれた気球爆弾の記憶を丁寧に掘り起こした。風船で米国を爆撃するという戦争の狂気を、地域の視点と連携から浮かび上がらせたユニークな取り組みとなっている。

☆中国新聞労組 中国新聞こども新聞編集部
 定期連載「ひろしま国 10代がつくる平和新聞」

公募で選ばれた小学生から高校生まで17人の「ジュニアライター」が平和について考えながら取材・執筆した。平和学習から生まれた曲や絵を通じた国際交流など興味深いテーマが続く。若い世代の新聞離れが深刻化する中、未来ある子どもたちに平和問題を新聞を通じて投げかける意義深い試みだ。息の長い取り組みを期待する。


疋田桂一郎賞 2件

☆毎日新聞労組 毎日新聞社会部工藤哲さん
 「離婚後300日規定問題」キャンペーン

工藤哲記者は、離婚から300日以内に生まれた子供は離婚前の夫と推定する民法規定、いわゆる離婚後300日規定によって苦しむ子供、親たちの姿を丹念に追い続けた。入社8年目ながら、同規定の非人間性を指摘、粘り強く報道し、スクープとキャンペーンで政治・行政を動かした。

☆全下野労組 下野新聞写真部近藤文則さん
 連載「死と向き合う医療―在宅ホスピス とちの木開設1年」

在宅ホスピスの医師と家族を見つめ続けた近藤文則カメラマンは、終末期を迎えた女性を看取る家族の明るい表情を写真を撮影した。人間としての尊厳を保ちながら死を迎える瞬間に立ち会えたのは、取材対象との強い信頼関係を築いたからこそできたといえる。死について深い問いかけをし、改めて新聞カメラマンの可能性と底力を示した。

以上

2007年10月29日(月) : 第24回JTC記者研修会開催される
JTC第24回記者研修会開催

 新聞労連新聞研究部主催のJTC第24回記者研修会が「格差社会part2切り捨てられる人々」をテーマに10月27、28の両日、東京・本郷のホテル機山館他で開催され、全国の若手記者ら31人が参加した。
 初日、ジャーナリストの鎌田慧氏が「新聞と労働者の状況」と題して問題提起。その後、NHKスペシャル「ワーキングプアー」取材班から、ディレクターの板垣淑子氏が、ワーキングプアーの現状についてと、制作時の考え方、取材時の視点、感想などを語った。
 次に新聞労連第11回ジャーナリスト大賞特別賞を受賞した茨城新聞<憲法のあした>を取材した菊池克幸氏と川崎勉氏から、地方紙で憲法をテーマに選んだ経緯や問題意識などについて報告を受けた。
 2日目は、97年に世田谷通りで起きたダンプカーによるひき逃げ事件で、当時8歳の息子を失った片山徒有氏が、被害者の司法参加について語り、活発な質疑応答が行われた。 
 続いて、在日朝鮮人人権協会の金東鶴氏が、最近の民間、行政による在日朝鮮人への人権侵害について報告・解説した。
 午後からは、デスク役に嵯峨仁朗労連委員長(北海道)、磯崎由美さん(毎日)、田原牧さん(東京)、山口正紀さん(ジャーナリスト、元読売)の4人を迎えて各班に別れ、参加者各自が持ち寄った記事に関してディスカッションを行った。

2007年10月4日(木) : 新聞労連第118回中央委員会開かれる
第118回中央委が団結がんばろう!  冒頭の挨拶で嵯峨仁朗委員長は「新聞を取り巻く情勢は相変わらず厳しい。広告出稿量が落ちて部数も減り、読者の新聞離れも止んでいない。雑誌でも『新聞没落』のタイトルで特集が組まれた。しかし、新聞産業が厳しい時だからこそ、ジャーナリズムを守る紙面づくりが大切だ。一番の宝である読者の信頼を捨て去るようなことがあってはならない。安易な人件費削減をさせないよう経営監視をしっかり行い、職場を守っていくにはどうすればいいか考えてほしい。労連も検証会議や産業政策研究などへの取り組みを強めていきたい。経済闘争もベアゼロ春闘を乗り越えるため、新たな局面を迎えている。新しい春闘はどうあるべきか議論を始めたい。新聞の危機が叫ばれるいま、いよいよ労組の力が試されるときだ。ピンチこそチャンスと受け止めていきたい」と述べた。
 本部新体制の承認、活動報告に続き、組合員意識調査アンケートの集計結果を報告。さらに決算および監査報告の後、2007年度秋季・年末闘争の方針案を本部から提案、拍手で一括採択した。
 内外タイムスの経過については「貸付金返済についての確認書案」を本部から提案。2008年6月の内外タイムス社株主総会後、返済に向け調査・協議を進めていくことを確認した。
 続いて08春闘見直しの検討会の設置について本部から提案。産別として経済闘争、とりわけ春闘をどのように闘っていくのか、統一要求や行動は有効なのかといった懸案事項について議論していくことを呼びかけた。中央執行委員をメンバーとして全国・地方紙別に分科会を開催、12月の春闘対策会議および拡大中央執行委員会までに議論をまとめ、2008年1月の臨時大会で報告する進め方を提案し、拍手で採択された。
 決定した秋季・年末闘争方針の柱は次の通り。
 @一時金は未払い賃金の一部、必要生計費の後払いとの位置付けを最重要視し人員・休日増なども含めた「総人件費の抑制」を許さないたたかいを強化するA働く者の権利を侵害する合理化に反対し、労働組合の組織強化・組織拡大に取り組むB産業政策研究を充実させ、新聞産業の抱える問題への取り組みを強めるC労働関連法案の改悪を阻止し、働く者の権利や環境の改善に取り組むD憲法改悪を阻止し「平和」や「表現の自由」を守る取り組みを強化する。

2007年9月14日(木) : 青年女性部が全国代表者会議ひらく
全国代表者会議 青年女性部は 9月10、11の両日、文京区民センターで第54回全国代表者会議を開いた。各地連から28単組53人が参加。07年度新役員を選出したほか、東京法律事務所の今野久子弁護士がホワイトカラーエグゼンプションについて講演した。
 新部長には全下野労組の阿部圭輔さん、副部長には全徳島労組の姫田和幸さんが選ばれた。阿部新部長は「若い世代だからこそ、考え、学ぶことがある。知恵を出し合い業界の発展につなげよう」とあいさつ。「各地連、単組に活力をもたらす」などを柱とした活動方針を承認した。
 今野弁護士は、ホワイトカラーエグゼンプション導入に反対の立場から講演した。日本経団連が提唱する国内版制度が導入されれば、単なる「残業代ゼロ法」「過労死促進法」だと指摘。適用が想定される労働要件のあいまいさにも触れ、素案段階で挙がっている400万円や700万円とする年収水準一つとっても「一番の働き盛りである30代で収入が頭打ちになる仕組みだ」と批判した。その上で、仕事と個人の両立が可能な労働環境を求める労組の重要性を強調した。
 このほか会議では、福井新聞労組など3単組が青年部年齢引き上げを行った経緯と現状を報告。長崎新聞労組青年部からは、就学前児童を持つ社員の「時差出勤」を認める要求を勝ちとったとの説明があった。
 また、朝日新聞労組が青年部を廃止し、組合本部内に「青年担当部長」を置く組織改編を報告。女性部も改称で事実上消滅する形となり、「今後の労連、地連青女部への参加が困難」との説明があったが、労連本部としては同労組本部を通して、今後も活動への参加、交流を求めていく方針を確認した。また、青年部廃止に至った経緯について詳しい経緯を文書で求めた。

2007年9月11日(火) : 心と体を守る全国集会開催される
 新聞労連労働安全衛生部主催の「心と体を守る全国集会」が9月8日〜9日の両日、「パワハラを考える〜パワハラって何?」をテーマに東京で開催され全国から19人が参加した。
 初日は、労働ジャーナリストの金子雅臣氏を講師に迎え、パワハラとは何か、について講演が行われた。金子氏は、「バブル崩壊後のリストラが職場のいじめを表舞台に出し、景気が回復傾向になり仕事量が元に戻った後も人員は減らしたままで仕事をさせた」ために人間関係の悪化を招いたこと、また正社員の採用を抑制して派遣やプロパーなどで補充したことや、成果主義型の労務管理を導入したために「働く者同士がコミュニケーション不足に陥った」ことがパワハラの背景にあるとした。その上で、「パワハラは人権問題である」と位置づけ、どこまで人間同士のコミュニケーションが取れるかが重要であり、お互いに言いたいことを言い合える関係を築くことがパワハラ防止につながることを指摘した。
 その後、各組合から現状報告を受け、労連労安部から06年末までの在職死亡者数について解説。他に、来年1月発行のパワハラ冊子vol2掲載予定事項などについて説明を行った。
 2日目は、東京法律事務所の笹山尚人弁護士が「パワハラの相談を受けたらどうする?」をテーマに講演。まずは、「パワハラ相談者の被害を理解し、共感することが不可欠である」とした。また、パワハラとは「人格権を侵害する不法行為」と定義し、パワハラを生まないための土壌づくりとして、就業規則による徹底や社内研修制度、告発しやすい通報制度の確立が必要であると指摘した。

2007年7月27日(金) : 新聞労連第110回定期大会を開催
団結がんばろうで大会を締めくくる参加代議員  新聞労連第110回定期大会が7月25、26の両日、東京の文京区民センターと飯田橋のホテルメトロポリタンエドモントで開催され、新年度の運動方針を決定した。新副委員長に一倉基益=いちくら・もとえき=さん(上毛)、新書記長に木部智明=きべ・ともあき=さん(日経)を選出、嵯峨仁朗委員長を再任した。在阪の新副委員長は京都から選出することを確認した。小関勝也(河北仙販)、波部光博(在阪=神戸デイリー)両副委員長と佐藤雅之書記長(全徳島)は退任した。大会ではメインスローガン「新聞と平和の危機を乗り越えいまこそ労連に力強い結集を」を採択した。

2007年7月11日(水) : 日本新聞協会にパックニュース問題などで申し入れ
申し入れを行う嵯峨委員長(左)  新聞労連本部は7月10日に日本新聞協会に申し入れをおこなった。申し入れには新聞労連の嵯峨仁朗委員長、小関勝也副委員長らが同協会事務局を訪問。新聞協会側は、阿部裕行総務部長ら4人が同席し、日本新聞協会労組も立ち会った。

申し入れの内容は次の通り。

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2007年7月10日
日本新聞協会
 会長 北村 正任 様

              日本新聞労働組合連合
              中央執行委員長 嵯峨仁朗

           申し入れ書

 日本新聞労働組合連合は、6月28、29の両日、東京都内で地方紙労組共闘会議を開催し、やらせ動員を引き起こした裁判員フォーラムをきっかけに問題となったパックニュースと、一部地方紙で掲載され読者の不信を呼んでいる宗教団体関係の記事について、情報交換と議論を行いました。
 2日間の討論を通じ、私たちはパックニュースならびに宗教団体の記事は、新聞倫理綱領でも求められている新聞の公正性、独立性を揺るがすものであるとの結論に達し、別紙のとおりのアピール文を採択しました。
 新聞産業は大きな転換期を迎えており、産業の建て直しは焦眉の課題です。そういう状況だからこそ、新聞がこれまでの長い歴史の中でつくりあげてきた読者の信頼が何よりの財産であります。目先の利益を求めて偉大な資産を食いつぶすのは、歴史的検証に耐えられる経営判断といえるでしょうか。
 アピール文に記された私たち労働現場の危機感を重く受け止めた上で、日本新聞協会としてもこれらの問題について適切な対応をするよう求めます。

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なお、2つのアピールは以下の通り。

1)パックニュースに関する問題
 国内の世帯数減少が確実に進む中、世帯単位での個別配布を主体としてきた新聞は今後一層厳しい経営環境に入ろうとしている。こうした中、新聞の信頼性を脅かす問題が発生している。一見、通常の編集記事スタイルで記述され、紙面組みされる「記事体広告」はかねてから、記事と広告の境がなく、読者を惑わせる恐れがあるとして、問題が指摘されてきた。中でも「パックニュース」は新聞社内の者でも、記事なのか広告なのか見極めが難しい巧妙な仕組みになっている。

 このパックニュースは例えば、ある官公庁や企業の広告が、五段〜七段あるとき、その広告の真上に表向き通常の編集記事のように書かれ、配信された「記事的なるもの」が掲載される形態となっている(時には広告の真上ではなく、違う面や日付で掲載されることもある)。この「記事的なるもの」は通信社あるいは地方紙の記者が本来の編集業務とは別にアルバイト名目などで執筆を頼まれ、各地方紙の整理面担当者たちがレイアウトして紙面を制作している。この内容は、広告主である官公庁の施策や企業の商品などについて、よい面だけを強調するものであって、決してマイナス面のことは書かない。
 広告主もこうした記事が載ることを前提として、広告を出している。つまり広告とパックになった代物であるから「パックニュース」である。紙面上隅にあるノンブルには「企画特集」であるとか「特集」と記されたり、あるいは空欄のままであったりしているが、ともかく「広告」という字はない。
なぜ広告とノンブルを打たないかという最大の理由は、取材記者が自ら主体的に判断し、冷静に、多角的に分析して記述したかのごとく読者に思わせることによって、広告主に対して広告効果の高さをアピールしようとする点にある。これは新聞が本来最も大切にするべき、読者の信頼を裏切っている。

 地方紙の場合、パックニュースで最も多いのが、電通がかかわる「全国地方新聞社連合会」経由のものだ。国交省や経産省、法務省などの施策をPRするパックニュースが10年近くにわたり、各紙に掲載されてきた。
 これは国の施策を冷静に分析し、批判、評価するという新聞の役割を置き去りにするだけでなく、読者に自覚をさせないまま特定の方向に誘導する恐れがある。昨年後半以降、表面化した裁判員フォーラムの問題では、新聞社によるサクラ動員が問題になった。これは全国地方新聞社連合会がかかわる形で、最高裁が裁判員制度を紹介するフォーラムを全国各地で開催し、その参加者をアルバイト動員していたもので、国会で問題になり、追及される過程で不透明な受注の仕組み、金の流れも浮上している。裁判員制度という国の一施策を宣伝するフォーラムが、全国の新聞社の積極的関与のもとに展開され、その詳報が最高裁の広告とのパックニュースとして紙面になり、さらには一部新聞社でサクラ動員まであった。これは一施策への明らかな読者誘導である。
 このカラクリが表面化するとともに読者の新聞に寄せる信頼は大きく傷つけられている。同様に核廃棄物の地層処分、市町村合併など、国民の中で意見が分かれる問題でも、全国地方新聞社連合会はパックニュースとして取り扱い、シンポも開催している。編集紙面、広告、事業という新聞社の能力の大半を注ぎ込んで、施策誘導していく現状には、歯止めが必要である。
 
 販売、広告等の現場で経営安定への努力が日々続けられている中、最も重要なのは読者の信頼にほかならない。読者の信頼がない媒体には広告価値もないはずである。われわれはこうした読者の信頼を失いかねない紙面作りについてしっかり監視し検証していくことを確認するとともに、新聞経営者に対し、早急に、記事と広告の区別を明確につけ、読者に分かりやすい紙面にするように求める。

2007年6月29日
新聞労連第2回地方紙労組共闘会議

2)特定巨大宗教団体の寄稿文等に関する問題
 全国の新聞メディアで、特定巨大宗教団体及び同団体名誉会長に関係する寄稿文、記事の掲載をめぐり問題が相次いでいる。
掲載に至る経緯が不透明で合理性を欠くケースや、編集現場で民主的な議論、チェックが行われないまま、反対を押し切って掲載が強行されるケースも少なくない。新聞の公正さに対する読者の信頼を揺るがす事態も生んでいる。これはジャーナリズムの危機である。新聞労連地方紙労組共闘会議に集ったわれわれは現状を深く憂慮する。

 同宗教団体は、政権政党に大きな影響力を持つと同時に、その機関紙印刷発注、広告掲載、新聞購入によって、新聞社の経営に少なからぬ影響を及ぼす存在となっている。われわれ新聞人は「新聞は公正な言論のために独立を確保する。あらゆる勢力からの干渉を排するとともに、利用されないよう自戒しなければならない」との新聞倫理綱領を厳しく認識すべきだ。同宗教団体には慎重に対応し、健全な関係を築かなければならない。

 新聞は、すべての宗教団体に対して公平さを担保すべきであり、それが崩されないよう編集現場での十分な議論と厳しいチェックが必要である。同宗教団体、名誉会長の政治的、社会的な影響力を考えれば、記事掲載について読者に説明責任を果たせないような事態を招くことは許されない。

 宗教団体の機関紙印刷受注や広告獲得、購読者獲得などから、新聞の編集は自由でなければならない。もっぱら経営的意図による記事掲載が行われたり、紙面が宗教団体の政治活動や布教活動に利用されたとの疑念を生むとすれば、ジャーナリズムの自殺行為である。
 宗教関係の記事掲載にあたっては、多様な読者の「信教の自由」に配慮したものでなくてはならない。

 われわれは、全国の新聞経営者と編集幹部が新聞ジャーナリズムの原点に立ち戻り、経営と編集の在り方を再検証することを求める。
 新聞人は、将来の読者、歴史の検証に耐えうる新聞づくりを強く自覚すべきである。われわれは、新聞人としての使命、モラルを全うすることを宣言する。


2007年6月29日
新聞労連第2回地方紙労組共闘会議

2007年6月30日(土) : 第2回地方紙労組共闘会議
第2回地方紙労組共闘会議の全景  新聞労連の2006年度第2回地方紙労組共闘会議が6月28、29の両日、東京の文京区民センターで開催され、22単組から約40人が参加した。今回のテーマは「特定宗教団体の寄稿やコラムの問題」「記事体広告・パックニュースの問題」。まず、労連本部が2つのテーマについて事前に行ったアンケートの集約結果を説明。続いて、それぞれのテーマに関する取り組みなどを各単組が報告した。両テーマに共通する問題点は、新聞産業の経営が厳しさを増す中、経営陣が十分な議論を行うこともなく、大量購入や広告収入など「目先の利益」に飛びつき、「公平・公正」「読者の信頼」などの視点を欠いていると見られかねない点。会議の最後に、経営側に経営と編集の在り方の再検証を求めるとともに、私たち労働組合は新聞人としての使命、モラルを全うすることを宣言するとの、アピールを採択した。

2007年6月15日(金) : 新聞労連が参加する憲法労組連が集会
キックオフ集会で挨拶する新聞労連・嵯峨委員長  新聞労連など中立系12単産でつくる憲法改悪反対労組連絡会(憲法労組連)は6月14日、9条を守るための1000万人署名の「キックオフ集会」を衆院議員会館で開き、約80人が参加した。新聞労連の嵯峨仁朗委員長が「新聞の世論調査でも9条に関しては『守るべきだ』との声が多い。憲法改正をめざす国会とのねじれをただす第一歩にしよう」とあいさつ。参加議員あいさつ、各単産報告のあと、「今後2、3年スパンで署名活動に取り組み、1000万人署名を達成させる」ことを確認した。