家族を自殺で失った人たちが思いを語り、支え合う「リメンバー福岡 自死遺族の集い」(井上久美子代表)の発足4周年の記念行事(西日本新聞社後援)が1日、福岡市中央区であった。精神科医による講演を交え、思春期の子どもたちの自殺予防や遺族支援の在り方を話し合った。
「携帯電話に娘の着信が残されていた。話していれば止められたかもしれない」。18歳の高校生の娘を自殺で失った北九州市の男性は、会場で声を震わせた。どうして死を選んだのか、今も分からないままだという。男性は「娘の死を無駄にしない気持ちは持ち続けて生きていきたい」と言葉を絞り出した。
講演では、児童思春期ストレスケア病棟を持つ大村共立病院(長崎県)の宮田雄吾副院長が、悩む子どもとの付き合い方を助言。「子どもには、1人で頑張るのはすてきだが本当に強いのは『助けて』と言える人だ、と教えている」と語った。
パネルディスカッションは井上代表、宮田副院長ら5人が参加。周囲の無関心が自死遺族の回復を阻害していることなどが報告され、井上代表は「遺族の苦しみを社会が想像することが支援につながる。心を傾けてほしい」と訴えた。
=2009/02/02付 西日本新聞朝刊=