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中小企業の資金難、貸し渋りで深刻化(上)

 仁川市の南洞工業団地にある建設重機部品会社の経営者は旧正月を前に、従業員に月給を普段の半額だけ支給した。ボーナス支給など考えられなかった。年商60億ウォン(約3億9500万円)前後の同社は、昨年10月から売り上げが半減し、数億ウォンの赤字を出した。同社はこれまでに設備導入、原材料購入、運転資金として20億ウォン(約1億3200万円)の融資を受けている。来月返済しなければならない元利金だけで5500万ウォン(約360万円)。建設景気が回復の兆しを見せない中で、調達のめどは立っていない。

 銀行には融資を拒まれた。財務状況が良くないというのが理由だった。経営者は「銀行は担保を要求したが、息子の家まで担保に入った状態で、もう担保に差し入れる資産はない」と話した。

◆中小企業の69%が「資金難」訴え

 韓国政府が数十兆ウォン(数兆円)規模の中小企業流動性(キャッシュフロー)支援対策を取りまとめたが、中小企業は資金難を訴え続けている。政府が銀行に対し、中小企業への融資を増やすよう求めても、銀行は融資実績があるように見せ掛けるため、優良中小企業に「(うちで)資金を借りてほしい」と言うばかりで、資金難に直面している中小企業には手を差し伸べていない。

 釜山市のゴム製品メーカーD社の資金担当部長は「従業員の月給の70%をやっと払っている状況。銀行が旧正月用資金を供給するというので、2億ウォン(約1300万円)の融資を申し込んだが、銀行は『担保が足りない』といって取り合ってくれなかった」と話す。不動産価格が下落し、不動産担保だけでは不足なのだという。

 金融当局は銀行が今年の旧正月用資金として、9兆ウォン(約5900億円)の支援を行うと発表した。韓国銀行が旧正月直前(1月12-23日)に金融機関を通じ、市場に供給した資金は3兆2000億ウォン(約2100億円)で昨年をむしろ34%下回った。

 京畿道安山市の半月工業団地にある自動車部品メーカーD社の資金担当理事は運転資金を確保するため、時価25億ウォン(約1億6500万円)相当の工場を担保に2億ウォンの融資を申し込んだが、銀行担当者は「最近多くの工場が売りに出されており、競売に付されても落札価格が時価に達する保障はない」として、融資を拒否したという。

 中小企業中央会が1月7-13日に全国の中小製造業531社を対象に資金事情を調査した結果、69%が「困っている」と答えた。前年同期を25.5ポイントも上回る数字だ。今回の調査で「資金事情は円滑だ」と答えた企業は4%にすぎなかった。調査対象の3分の1程度が税金などを延滞し、従業員の給与を普段通りには支払えていないことも分かった。

金承範(キム・スンボム)記者

李性勲(イ・ソンフン)記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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