国際捕鯨委員会(IWC)のホガース議長(米国)が、日本が南極海で行っている調査捕鯨の規模を縮小する代わりに、日本が求めている沿岸小型捕鯨の再開を認める内容の妥協案をまとめたことが明らかになった。25日付の米紙ワシントン・ポストが報じた。
IWCは、86年から一時停止されている商業捕鯨の再開や調査捕鯨の是非を巡って日本などの捕鯨国と米英などの反捕鯨国の対立が続き、機能不全に陥っている。また、日本は宮城県や和歌山県などの伝統的な沿岸小型捕鯨の再開も求めているが、その見通しも立たない状況が続いている。
IWCは08年の年次会合で、正常化へ向けた作業部会の設置を決め、同部会で調査捕鯨などの問題について議論した。ホガース議長は2月に妥協案を正式に提示し、対立解消を図る狙いと見られるが、反捕鯨国側の出方は未知数だ。
日本側も、クジラの生態を科学的に調べる調査捕鯨はIWCのルールである国際捕鯨取締条約で認められた権利と主張しており、大幅な規模縮小には難色を示すとみられる。水産庁は「いろいろな提案があり議論が続いている。提案内容についてはコメントできない」としている。【工藤昭久】
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