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火の車なのに評価A 総務省の三セク診断ツールお粗末(1/2ページ)

2009年2月2日7時0分

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 第三セクターの経営状況をつかむために総務省が作った経営診断のための流れ図で、最高評価の「A」と診断されながら、整理や支援を迫られる三セクが相次いでいることがわかった。東京都の多摩都市モノレールや、大阪市が再建を断念した「大阪ワールドトレードセンタービルディング(WTC)」などが含まれる。総務省の担当課は「診断基準が緩かったと言われてもしようがない」とずさんさを認めた。

 この流れ図は「予備的診断の参考例」と呼ばれる。03年に「第三セクターに関する指針」が改定された際、自治体に定期的な点検を促すために作られた。

 「単年度黒字か?」「減価償却前黒字か?」などの設問にイエスかノーで答えながら、流れ図の矢印を進む。その結果、A「経営努力を行いつつ事業は継続」、B「事業内容の大幅見直し等による抜本的な経営改善が必要」、C「深刻な経営難の状況にあり、経営の観点からは、事業の存廃を含めた検討が必要」――の3段階で診断される。

 これを使い、総務省は07年度、全国の三セク4462法人を対象に調査を実施。結果はA4判で88ページにまとめられた。非公表だが、朝日新聞が入手した資料によると、Aは3884と87%を占めた。その中には昨年、経営危機が明らかになった三セクが軒並み入っていた。Bは401、Cは177だった。

 Aが乱発された原因は、単年度黒字だったり、累積赤字があっても事業計画が変更されたりして「計画通り」ならばAと診断されるためだ。大阪WTCは「単年度黒字だった」が、建設に伴う約1200億円の借金があった。大阪市は「この程度の質問で経営実態はわからない」と話す。

 長野県松本市が出資する発芽玄米の製造販売会社ファインフーズ梓川は「赤字が計画通り」のため、Aと診断された。しかし昨年5月、市は自主再建を断念。市は借金の肩代わりなどで3億4500万円の負担を強いられる見通しだ。

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