(CNN) 乳幼児の重い髄膜炎などの原因となるヘモフィルス・インフルエンザb型菌(Hib=ヒブ)。90年代のワクチン導入以降、ヒブ感染症の発生率が非常に低くなっている米国で、ミネソタ州に5件の発生が確認され、このうち乳児1人が死亡したことが分かった。当局はワクチン接種の徹底を呼び掛けている。日本では昨年末にワクチンが発売されたばかり。
ヒブは乳幼児にみられる髄膜炎や肺炎、呼吸困難を起こす喉頭蓋炎などの原因となる細菌で、インフルエンザウイルスとは別の病原体。米疾病対策センター(CDC)によると、ヒブ感染症の致死率は5%と高く、回復しても難聴などの重大な後遺症が残る恐れがある。
CDCによると、米国ではワクチンが普及する前、年間2万人の発症が報告されていた。ヒブによる髄膜炎の発症率は87年の時点で5歳以下の子ども10万人当たり4.1人だったが、ワクチン普及後の07年には同0.11人まで下がっていた。ミネソタ州での続発は異例とされ、CDCでは「ほかの地域でも同様の傾向が現れる可能性がある」と懸念を示している。
ヒブ・ワクチンは生後2カ月から約1カ月おきに3回、さらに約1年後に追加で1回接種される。同州の患者5人のうち、死亡した生後7カ月の乳児を含め、3人の子どもは家庭の判断でワクチン接種を受けていなかった。残る2人のうち1人は接種完了前の乳児、もう1人には免疫不全疾患があったという。
ワクチンは現在、世界110カ国で導入されている。日本では昨年末から任意で接種が受けられるようになった。