合志市の国立ハンセン病療養所菊池恵楓園のあり方を考えるために実施した市民アンケート調査の結果がまとまった。回答者の半数近くが「今も患者が療養している」と答えるなど、恵楓園やハンセン病に対する理解が進んでいない実態が分かった。
アンケートは昨年12月、市と県立大の中島熙八郎(きはちろう)教授が共同で実施した。無作為に選んだ市民3285人に送付し、1243人(37%)から回答を得た。
ハンセン病に対する認識の質問(複数回答)では「治る病気」が53%▽「めったにうつらない感染力の弱い病気」は49%だったが、一方で「治らない病気」は14%▽「遺伝する病気」も7%いた。
恵楓園に対する認識は「場所を知っているだけ」が43%▽「入ったことはあるが、中のことは知らない」は30%だった。
また、恵楓園について「今もハンセン病患者が療養している」と誤った考えを持っている人が47%に達した。「誰でも出入り自由なのか、わかりにくい」は33%だった。
将来についての質問では「医師や設備が整った総合病院」が44%▽「高齢者、障害者の療養施設」は46%で、医療・福祉分野での活用を考えている市民が多かった。
調査した中島教授は「恵楓園の現状が正しく認識されていないのではないか。市民が入りやすいような雰囲気をつくることが重要だ」と話している。【伊藤奈々恵】
毎日新聞 2009年2月2日 地方版