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残せるか山形弁

2009年02月02日

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講演する今川亮平さん=山形市の東海大山形高校

∞10代・20代「使う」のは4語

親世代の30〜50代使うかがカギ

 共通語を話す若者が増えるなか、地域に方言を残すには――。こんなテーマの市民講座がこのほど、山形市の東海大山形高であった。講演した同高教諭の今川亮平さん(29)によると、たくさんの方言を知っているものの、日常生活では使わない30〜50歳代の親世代が伝承の鍵になりそうだという。

 方言は口づてに広がっていく。そのため海上交通が盛んな庄内地方は秋田、新潟両県や上方語の影響を受け、内陸は宮城、福島県などと言葉の結びつきが強いとされる。

 今川さんは01年に、山形や東北地方などの方言100語について「(日常的に)使う」「知っているが使わない」「知らない」のいずれかを選んでもらうアンケートを実施、天童市の中学生やその家族340人から回答を得た。同市は県内の他市町村や県外からの移住が多く、核家族化が進んでいるため、方言の移り変わりの調査に適していたという。

 先月31日にあった市民講座で今川さんが発表したアンケートの結果によると、7割以上の10〜20代が「使う」と答えたのは4語だけ。8割以上が「知っているが使わない」とした方言も16語にとどまった。多くの若者にとって方言100語のほとんどがなじみのない言葉になっていた。

 一方、60歳以上が「使う」と答えた方言は56語。世代間で大きな差が生まれていた。

 結果のなかで今川さんが注目したのは、30〜50代の親世代。「知っているが使わない」方言が52語あったのに、「使う」方言は21語にとどまった。今川さんは「方言に抵抗を感じて使わなかったことで、子どもに方言が伝わらなかったのではないか」とみている。

 また、移住者の多い市中心部は市内出身者でも7割以上が「使う」方言は10語前後と少なく、9割以上が「知らない」方言が34語あったという。これには「移住者とのコミュニケーションを図るため、普段の会話のなかで方言を避ける傾向が強かったのではないか」とみている。

 今川さんは、ここ10〜20年で共通語が上手な子どもが増えたと感じている。そうしたなかで「方言がどれだけ残るのか、若者への継続的な調査が必要だ」としている。

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