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02/01/2009

失火ノ責任ニ関スル法律

■「火の元の2階下だから大したことないだろう」なんて楽観論があっさり吹き飛ぶ
 漏水っぷりで、もはや焦りを通り越して第三者的視点で成り行きを見守る(しか
 ない)状況もようやく落ち着いてきました。

 養生措置中の仕事部屋。

 

 もはや何がなんだか分からない。
 このシートの下に機材などが埋まってます。

 廊下などの養生。

 

 こうやって天井にビニールのシートを這わせて漏水を1箇所に集めます。
 ところどころ流れが悪くて汚水がたまりますが、うかつに突いてはいけません。
 ビニールもつぎはぎで経路を作っていますので、思いもせぬ隙間から水が流
 れ出してしまうこともしばしば。


■その後2日ほどで漏水も止まり、養生も外してもらいました。
 メインとサブのPCは退避させていたけど、他の音源や鍵盤類がどうなのか
 チェックするまでヒヤヒヤでしたが、無事通電し、動作も異常なし。

 大体の機械が天板つきのデスクの下に置かれていた事と、漏水への対処が早かった
 おかげかと思われます。
 すばやく養生措置してくれた消防と内装屋さんに超感謝。


■しかし良いことばかりでもないようで。
 (火災被害にあうこと自体が良いことではないけどそれは置いといて)

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 (社会勉強の時間)

  民法709条
  「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害
   した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

  つまり簡単に言うと「他人に迷惑かけたらわざとじゃなくても弁償しろよ」
  って話です。
  至極当然なことですが、これには例外がありまして。

  失火ノ責任ニ関スル法律(失火責任法)
  「民法第七百九条ノ規定ハ失火ノ場合ニハ之ヲ適用セス但シ失火者ニ
   重大ナル過失アリタルトキハ此ノ限ニ在ラス

  突然カタカナですが、明治32年に制定された失火法(現在も有効)によると、
  「火事の場合は迷惑かけても弁償しなくていいよ」って法律です。
  「重大ナル過失アリタルトキ」(重過失)の場合はこれの限りではない、とあ
  りますが、ほとんど重過失認定されることはないんだとか。

  何でこんな法律があるかというと、日本は昔から木造建築が多く、火災で周り
  に被害が渡りった場合、個人が補償できる額を大幅に超えてしまうるケースが
  多いため、このような例外措置が設けられているとの事。
  
  つまり「火事に遭っても補償は自分でね」というのが日本のルールのようです。
  今回の件も火元に対してこっちからはなんら請求が出来ず、あちらの誠意如何
  という。
  
  ただし以上の法律は周辺に対してのことであり、賃貸の場合、貸主に対しては
  火元はその賠償責任が生じます。つまり住居の原状回復にかかる費用その他
  ということになりましょうか。

  以上のようなことが起こった場合「保険に入っていると安心」な訳ですが、
  ここでよく注意しないといけないのが「自分が火事を出した場合」と「自分
  が火事を出された場合」で微妙に異なる点です。

  つまり火災保険は

  ・自分が火を出してしまって、大家さんに対しての賠償をするためのもの

  と

  ・自分が火事の被害に遭い、その損失を補填するためのもの

  の2種類に分けて考えないといけません。


  賃貸に入居する場合、おそらく大抵の人がそのときに火災保険に入るでしょう。
  それは大体前者と思われます。です。大家さんが、自分が害を被らないように
  入居者に入らせるのですね。

  しかしもし火事を出してしまった場合に、自分の家財に対する補償があるのかど
  うかという点を注意しておかないと、保険に入っているというだけで安心できな
  いことがわかります。

  保険によっては特約などで自分の家財の対する補償などもつけてもらえるプラ
  ンもあるかもしれません。
  気になる方は保険証で確認したり、保険会社に問い合わせてみるといいかと
  思います。
  
  「火事なんて遭わネーヨ」って思った方。
  分かります。
  俺も4日前までそう思っていました。
 
  
  そして、俺は保険に入っていませんでした。 o......rz

  
  俺の入っているUR(都市再生機構・旧住宅整備公団)は、保険は任意です。
  つーか入居時にそういう説明も受けていなかったとURの人に言ったら、
  URは独立行政法人のため、保険の勧めなども営利的な活動となってしまう
  ため出来ないんだそうです。

  なんだか上手い具合にはぐらかされた感はありますが、いまさらなので
  それはそれとして勉強料を払ったと思うことにしました。

  なお住居修復(汚れた畳や壁)などはURが全部回復してくれるというので、
  その点では助かります。母体がでかいとこういう点が充実しているので安心
  です。


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■さて、じゃあ今回の件でどんだけ被害を受けたかといえば、幸いなことに家財
 へのダメージは軽微で、水没したトイレ用品一色と、仕事部屋の絨毯(これは
 全面とっかえ)。あとは漏水対処のために使ったタオルなど布類。

 水をかぶった仕事部屋の電灯。

 今後家中を掃除しないといけないのでその労力やケミカル代。

 ああ、あとこの間仕事が全然できなかったのでその巻き返し。
 (でも今後、補修工事の時の対応や実施で仕事が停滞する期間あり)


 それと最大の懸念が染み付いた灰の臭い。
 一日中部屋でこもって仕事をする身にとっては割と深刻な問題です。
 URの方で脱臭処置をしてくれるということですが、何しろコンクリートに
 しみこんだ臭いなので一時的に取れてもその後どうなのかとかが不明。

 場合によってはオゾン脱臭機とか考えんといけんのかも。

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