児童生徒が対象の全国体力テストで、中学二年女子の三割は一週間の総運動時間が六十分未満だった。運動している子としない子の二極化が目立つ。意識してでも、体を動かす工夫がいるようだ。
全国体力テストは文部科学省が昨年初めて実施した。毎年行っている抽出方式の体力・運動能力調査とは別のもので、小学五年と中学二年の全員が対象だ。一昨年から始まった全国学力テストの「体力版」といえる。
テストは五十メートル走や握力、反復横跳びなど八種目の実技を行い、生活・運動習慣も尋ねた。
結果をみると、子供の体力が低下している実態があらためて浮き彫りになった。ピークだったとされる一九八五年当時と比べ、五十メートル走やソフトボール投げなどの比較できる種目の大半で劣った。
体力の低迷は運動時間の少なさによる。一週間の総運動時間が六十分未満の割合は男子が小五11%、中二9%だが、女子は小五23%、中二31%。運動している子としない子の二極化傾向も顕著だ。
テレビ視聴やゲーム遊びの増加、塾通い、安全な遊び場がない。「三間(時間、空間、仲間)」の減少が指摘されて久しい。子供が運動する機会をできるだけ増やし、体力低下を食い止めなくてはならない。
体力の向上は生活習慣が密接にかかわる。学校任せにせず、家庭でのサポートも重要だ。
文科省は体力テストを「一人一人の実態を把握し、対策を講じてもらうため一斉方式にした」というが、全体で参加者は七割だった。小学校の参加率は石川100%、愛知99%だが、東京44%、滋賀10%と、都道府県で格差がみられた。国からの実施通知が昨年三月、期限が七月末では準備できない自治体が出るのは当然だ。
学力テストに後れを取るまいとした文科省担当部局の思惑が先走ったのだろう。体力テストの導入は拙速だった感が否めない。
参加率に差があるのに文科省は都道府県別平均値を公表した。どれほどの意味があるのか。橋下徹大阪府知事は「大阪は体力も駄目」と怒り、市町村に結果公表を求めた。学力テストと同じく過度の競争を招く懸念がある。
データを個々に生かしていくなら毎年実施が筋だが、費用や手間がかかる。傾向把握なら抽出方式で十分だ。新年度も小五と中二の全員対象で行う予定という。子供には活用できず、現場の負担を増やすだけにならないだろうか。
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