
感想うp汁という声が一部にありましたので、雑感を記します。
見た目
いわゆるチョコパウンドケーキ。カットするとその断面にウナギの蒲焼きが恥ずかしそうに顔を出してくれます。ウナギ以外の内包物は無し。パウンドはマーブルにはなっておらず、丁寧確実に焼き上げられたことがわかります。…しかしここには鰻パイのような優しさや思い遣りを感じ取ることは出来ません。ウナギの身は、残酷なまでにがっちりキープされており、その断面には肉質アリアリ。まじ鰻の蒲焼き一匹分なんですよぉ。(;´д` )
一口目…しっとり、もちもち、濃厚なお味。
端っこを一かけ、食べてみます。……しっとりとした生地。チョコは上等。濃厚でありながらくどいということはなく、立ち上るブランデーの薫りと相まって、極めて大人向けな雰囲気を醸し出しています。最初ブランデーがとても強いと感じますが、もぐもぐと食べているうちにそれほどでもないと思えてきます。生地の部分ならお子様でも大丈夫。…えぇ。生地の部分は本当に旨いです。
さらに食べ進む…あれ、何か入ってる。ナッツかな?
一口二口と食べ進むにつれ、とうとう中央部に顔を出しているウナギ部分に突き当たりました。もう逃げることは出来ません。おもむろに突いてみます。…固そう。思い切ってウナギ部分を中心に一口サイズに切り出し、口に放り込みます。もぐもぐ…ひときわ強くなるブランデーの薫りが鼻腔を刺激します。食感は柔らかいナッツ。もぐもぐもぐ…やがて口中にも広がるブランデーの味。ブランデーまじ強い。酔いそう。
全部食べてみて…鰻入ってたっけ?
「ブランデー漬けの弾力ある何か」が入っているのですが、ナニなのかよくわからない。とりあえず咀嚼して残りもゆっくり食べてみます。チョコうめ~。しかし、これでは……。要するに、ブランデーとチョコ味に誤魔化されて、それがウナギなのかどうなのかよくわかりません。
そこで鰻部分だけ食べてみる
幸いおこちゃまたちが、鰻部分だけを残してくれました。合計3個。w それを一つずつ口に放り込みます。噛む噛むエブリ鰻…。ブランデーの風味の遙か彼方に、なんとなく魚のような泥のようなそんな雑味が見え隠れしてきました。w …もぐもぐ…お。ウナギの鉱脈発見! 確かなウナギの味が感じられます。w 表現するなら、鰻の蒲焼きをブランデーで煮しめたような味とでも言いましょうか……。ブランデーの風味、チョコの甘み、その洋風の味の中に、確かに「乾物ウナギ」の味がします。w
鰻の味が徐々にはっきりと…
2つ目を口に入れます。うん、うん。確かに鰻の味がする。w 私は今、パティシエの方がケーキの中で必死に隠そうと努力した鰻味を、暴くように食べているのです。w
3つ目を食べる段になって、だんだん罰ゲームに思えてきました。最初ほのかだった鰻味が、今では「肉の部分」と「皮の部分」の違いすら分かるようにリアルになってきました。皮の部分、ちょっと苦い気がする。そして泥臭い。www
鰻とケーキ
その鰻味を噛みしめながら、「鰻inケーキ」の意味合いについて考えてみました。この鰻の蒲焼きが、ケーキの中では無くごく普通に熱々の丼に仕上がっていたなら、間違いなく旨い旨いと喜ばれながら、誰かの口に入っていたはず。本来別々に食べればどちらも旨いのに、なぜ敢えて駄目になることを承知で合一したのか。この鰻はなぜケーキに入っているのか、いや仮に入れる計画があったにしても、何故「蒲焼きの形」をなるべく残そうとしたのか…。
組み合わせB級グルメ
「どうしても鰻の蒲焼きをケーキに入れる必要があったんだ!」と言われても素直に肯首できないこの理不尽さ。なぜ無理だ止めましょうと言わなかったのかと…。「これは要求に対するパティシエの意地なんだよ!」そう言われても、それならそれでもう少しなんとかならなかったのかと尽きせぬ疑問が頭をよぎります。
ケーキに鰻の蒲焼きという論外な組み合わせから逃げることなく、しかも巧みに鰻を隠しながらここまでに仕上げたパティシエの腕には、一応の賞賛を送りたい。w しかし、鰻の蒲焼きをブランデーでいくら煮しめようともケーキにはなりません。寧ろケーキを以て鰻の蒲焼きと処する位の発想の転換が無かったことが悔やまれてなりません。腕の良いパティシエだからこそ、この計画そのものに対する反省が必要だと私は主張したい。w

鰻の蒲焼きをケーキに入れたいという意見書