小難しい題名を付けてしまったけれど、要は、何かを表現する時に、厳しい時間的制約があるかないか。
小説、論文、油絵、作曲、製陶などなど、多くの表現行為は、納得が行くまで時間をかけて仕上げる。もちろん、ほとんどの仕事には納期が設定されるのだが、作業期間は十分に長く設定される。
これに対して、音楽演奏は、厳格に時間的制約を受ける。アドリブとなると、フレーズの発想から実際の発音までパイプライン処理で数百ミリ秒から数十ミリ秒で処理していると思われる。書道も即時性を求められる。句会における発句はもう少し緩やかだが即時性の範囲と言えるだろう。
それぞれの表現行為に求められる要素は様々であり、時間管理もその中の一つに過ぎないのだが、一つの切り口として提示してみた。
議論というものは、元来は即時性のあるものだが、ネットワーク時代の初期に於いては、即時的な応答は困難であったため、あたかも文通のようなやりとりを公開で行うことを強いられた。ウェブ掲示板に於いては、大幅に即時性を獲得したが、参加者の実生活における時間的制約のため、公開文通状態にもなり得た。
Enjoyの掲示板では、一つのthread内部における議論は、筆談による実時間会話であり、ほぼ即時的応酬といってよい。しかし、スレ主が主題を設定する作業は必ずしも即時的ではない。即興の時もあるが、何日も何週間も温める時もある。Jazzのjam sessionに例えて言うならば、スレ立てテーマの作曲に相当し、議論はアドリブに相当するだろう。
知識の多寡は検索の力で補えるのだが、応酬と発展は、どうしても地力を問われることになる。