『嫌韓流』を本屋でみかけたので今さらながら買ってみた。なかなか一般の書店では見付からないという噂をヲチスレ等で聞いていたのだが、JR大阪駅の某書店ではこの本が山積みになっていた。私が購入した時も若者が一人熱心に立ち読みしていたところを見ると、注目されているのはネット上だけということもないようである。
内容については、とてもつまらなかったというのが正直な感想である。漫画のスタイルとしては「絵解き漫画」とでも言うのだろうか。WCがきっかけで日韓問題に関心を持った主人公達がサークルや討論会を通じて「真実」を知っていくというのが一応の話の設定なのだが、これは登場人物に「真実」を語らせる設定のための設定に過ぎず、あまり意味はない。小学校の図書館にある『まんが 日本の歴史』等と同様、物語として成立させるために無理矢理人物や状況を設定しているだけである。勉強の嫌いな子供にとにかく基礎的な知識を与えることが目的の絵解き歴史漫画ならばともかく、一般読者を対称とした商業ベースの作品でこれは駄目だろう。
題材として扱われている戦後補償や日本文化起源説などに対する作品のスタンス・評価は、予想以上にハングル板・Naver歴史板に近い。というより、ほとんどそのままである。「知れば知るほど嫌いになる国」というお馴染のフレーズはもとより、「韓国=(文化の)ストロー」説まで描かれていたのには思わず笑ってしまった。ちょっと描き方を変えさえすれば、「Naver戦線従軍記」としてそのまま通用するのではないだろうか。
換言すれば、Naverに長くいる人にとっては、この作品で扱われている内容はどれも周知のものであり、改めて得られる情報はほとんど何もない。むしろ、日本側の認識・主張の全体像を把握できるという点で、韓国人こそ読む価値があるかもしれない。
余談ながら、少し前、友好派と目されている某韓国人が(どうせ違法DLだろうが)これを読んで歪曲歪曲と騒いでいた。しかし、この作品の内容は、漫談派を含めたNaver日本人の最大公約数的意見・認識だろう。これを歪曲と言うのはNaver日本人を一概に歪曲と罵倒するに均しい。
結論を言うと、この作品は漫画としてはほとんど価値はなく、情報源としても(漫画が情報源というのも土台おかしな話だが)Naver日本人にとってさして価値がないと思われる。Naverにおける議論や韓国側の反応を知りたければ、やはりKG nayukiだろう。『嫌韓流』で描かれている韓国人は追い詰められると容易に引き下がる傾向があるが、実際の韓国人はそんなに甘くはない。nayukiはその点もリアルに再現してあり、少なくともNaverに関する限り、『嫌韓流』より面白く、かつ有用である。
最後に、本作で一番面白かったシーン。
末行:このような、なんでも韓国起源にしてしまう妄想のことを「ウリナラ起源」と専門家たちの間では呼ばれているんだ。
要:そんな用語まで……
……どこの専門家だよ、おい。