不倫の恋に悩む某女性のために古代の恋愛歌で不倫の恋を考えてみましょう。
天武天皇の娘に、但馬皇女という女性がいました。但馬皇女は、叔父にあたる高市皇子に嫁ぎますが、一方で、異母兄である穂積皇子に対して熱烈な恋心を抱きます。
秋の田の/穂向きの寄れる/片寄りに/君に寄りなな/言痛くありとも
(秋の田の稲穂が片方に傾くように、あなたに寄り添っていたい。たとえ人がなんと噂しようとも。)
後れ居て/恋ひつつあらずは/追ひ及かむ/道の隈廻に/標結へ我が背
(残されてあなたのことを想っているだけでは嫌です。追いついて行きたい。道のかどかどに印をつけておいてください、愛しい人よ)
人言を繁み言痛みおのが世にいまだ渡らぬ朝川渡る
(人の噂が辛くても、いえ、だからこそ。生まれて初めて、あの人に会うために冷たい水の流れる朝川を渡ります。)
但馬皇女は、人の噂も気にせず、一心に穂積皇子を想い続けます。
これに対して、穂積皇子が公に答えることはありませんでした。
ただ、但馬皇女の死後に穂積皇子が墓前で詠んだ歌が残っています。
降る雪はあはにな降りそ吉隠の猪養の岡の寒からまくに
(雪よ、そんなに強く降らないでください。吉隠の猪養の岡に眠るあの人が寒いから)
教訓:ロマンスは、物語の中で
IP xxx.110.xxx.1
|