【石川】創造の第一人者 語る イート金沢 セミナーにアニメ・押井監督ら2009年2月1日
情報技術(IT)を生かして新しい芸術や文化、産業の創出と人材育成を目指すイベント「eAT09KANAZAWA(イート金沢)」は2日目の31日、金沢市大和町の市民芸術村でセミナーを開いた。広告・デザイン、テレビ・番組、アニメーション・エンターテインメントの3部門で、第一線で活躍するクリエーターたちが各業界の将来を熱く語り、こうした分野を志望する若者ら約300人を沸かせた。 (福田真悟)
広告、映像など3部門後進にヒント紹介、エールも広告・デザイン部門では、クリエーティブディレクターの宮田人司さんと永井一史さん、アートディレクター森本千絵さんの三人がそれぞれの成功例を紹介し、不況時にも必要とされる作品をつくるこつを語った。 森本さんは、音楽CDの売り上げが落ちる中で百万枚を超えるヒットを記録した人気バンド、ミスターチルドレンの最新アルバムのジャケットをデザイン。「今後はCDのジャケット自体を広告ととらえ、いかに手に取ってもらえるかを考えることが重要」とした。 最新型携帯電話「iPhone(アイフォーン)」のソフトウエア開発などを手掛ける宮田さんは「デザイン、広告は世の中からなくならない。いいものを作る気持ちを忘れなければ大丈夫」と、クリエーターの卵たちを勇気づけた。
◇ テレビ・番組部門では同世代のテレビマン三人が登場。インターネットなどメディアが多様化する時代に、視聴者と広告主をひきつける作品にとって大事な要素を議論した。 テレビドラマ「踊る大捜査線」の映画版をプロデュースしたフジテレビ映画事業局長、亀山千広さんは「キーワードは『新しい』。テーマやシチュエーションは出尽くしているが、切り取り方次第で新しくなる」と主張。人気アニメ「機動戦士ガンダム」シリーズの最新作などを手掛ける毎日放送東京支社の竹田青滋さんは「現在の空気感を共有できているかどうか」と述べた。 東北新社専務の中島信也さんは二人の意見に同調し、「まず、現代を意識することが大事。そうしないと新しいものも分からない」とまとめた。 ◇ アニメーション部門では、海外でも評価の高い劇場版SFアニメ「攻殻機動隊」を手掛けた押井守監督らスタッフ三人が、制作中のエピソードなどを披露し会場を沸かせた。 今後のアニメーション業界について、押井監督は「どのメディアもそうだが、採算性を重視した結果、似た作品が多く、見る前に飽きてしまう時代。そこを何とかするのが僕らの課題」と語った。
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