【 蛸 グ ラ フ 】
八方手詰まり。
 



あけましておめでとうございました。
やっとでつぼみの原稿”コブリアワセ(前編)”、専門書店さん用の特典カラーイラスト、
メッセージペーパーの作業がほぼ終わりました。

今回はペンや紙を使わないフルデジタルの手法で試みましたが、描き手の体温が伝わる絵作りに拘ったので
想定より随分ハードな作業になってしまいました。
月刊連載でこの手法でやったら、たぶん半年で肘がぶっ壊れると思います、、、。
そのぶん割と満足のいく贅沢なものになったので、手に取っていただけるとうれしいです。

現在はコブリアワセ・後編の作業に取りかかっています。
季刊なので後編が載るのはだいぶ先なのですが、とにかく懸案の朝霧の巫女の単行本作業に早く取りかからないといけないので
前編のテンションが続いている内にガシガシ片付けていきます。

シンデレラシューズの全ページ解説も猶予期間(今月20日まで)がなくなってきましたので
これからできるだけ毎日更新でピッチをあげて行こうと思います。


■p8,9(p154,155)

シンデレラが階段を駆け下りてガラスの靴を残して退場するシーンです。
編集さんの案で、3ページだったのを2ページに縮めてテンポアップしてあります。
アマリが転げ落ちるところと、馬車のドアを閉めて走り出す描写は擬音で省略することにしました。

実際の音がない漫画でこういう省略を続けると展開が分かりにくくなるのですが
誰もが知っているシンデレラのシーケンスがベースなので、思い切ることにしました。

ここのシーンだけでなく、作品全体をシンデレラの童話を印象づけるようにしてありますが
これはSFという取っつきづらさを緩和する働きを期待してのことです。

ここから余談です、、、。

SFファンタジーは、架空世界が魅力の一つではあるのですが
その作品独自の造語やら設定が氾濫して読み手の気力を萎えさせがちなので(ジャンル衰退の大きな要因かもしれません)
この作品では誰でも知っている童話を下敷きにすることで抵抗を減らそうという考えをとりました。

王子様やシンデレラ、カボチャの馬車、ガラスの靴は皆が共有するイメージを持っているので
くどくどと野暮な説明をしなくても「ああこいつが王子様であいつがお姫様か」と定型的に理解してもらえるので
お話に集中出来るのが大きな利点です。おまけに隠喩的な奥行きもできるので色々おいしい手法だと言えます。

こうした便利な説明不要なお話の舞台仕立てとしては、童話の他にも軍隊とか警察、学園などがありますね。
(・・・というようなことを昔あさりよしとおさんがアニメージュかなにかで書いてました)
特に学園ものは、多くの人が学校生活を経験してる訳ですから、共有言語として強力に使える道具となります。
ライトノベルで学園ものが多いのは、こういう便利さゆえかもしれないなあと思います。
”SF”や”ファンタジー”だと速攻敬遠されますが、頭に”学園”がつくと扱いが変わる昨今なので
手にとって最後まで読んで貰えるように、漫画家も色々知恵を絞らねばなりません。

皆と同じ事をやっても仕方ないので、僕はしばらくは”学園”は封じ手になろうかと思いますが
他にもっといい手があるかというと・・・難しい所です。

閑話休題。

ここまででようやく登場人物と舞台の紹介の序章が終わり、次ページからがこの作品の本題となります。


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コメント
 
 
 
Unknown (どM)
2009-02-02 01:29:48
ファンタジーモノでも変な横文字(カタカナ語)とか
解説とかいれずにどんどん話を進めていけば案外抵抗無く読める気がするんですが


月刊や季刊だと『読み手からすれば』間がありますからその辺の説明されてない世界観について想像してみたり某掲示板であーだこーだ言うネタにもなりますし



で、理想としてはいつ頃なんでしょか?…>朝霧の巫女の単行本
出るなら待ちますからセンセが納得いくものを出して下さい
 
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