薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は29日、明治製菓の経口カルバペネム系抗菌剤「オラペネム小児用細粒10%」、阪大微生物病研究会が細胞培養法を用いて製造した日本脳炎ワクチン「ジェービックV」など3品目を審議、承認することを了承した。
「オラペネム小児用細粒10%」の有効成分はテビペネムピボキシル。既存のカルバペネム系抗菌剤は注射剤で、経口剤は国内初となる。適応は、小児の肺炎、中耳炎、副鼻腔炎だが、他の抗菌剤による治療効果が期待できない症例に限定する。
経口剤は従来の注射剤に比べて使いやすく、耐性菌の問題が懸念されるため、感受性試験を含む市販後調査を行い、情報収集を行うことを承認条件とする。再審査期間は8年。原体・製剤とも毒薬、劇薬に該当しない。
「ジェービックV」は、マウス脳を原料に用いた日本脳炎ワクチンではなく、細胞培養法により製造された国内初の日本脳炎ワクチン。
日本脳炎ワクチンは、接種後に急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の副作用が発生したことを受け、2005年5月に厚労省が定期予防接種として、現行の日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨を行わないよう勧告してから、定期接種は事実上中断している。マウス脳の成分とADEMとの関連が指摘されており、新ワクチンは従来のワクチンより、副作用のリスクが低いと期待されている。
今後、定期接種に用いられることが考えられるものの、ADEMの発症が10〜100万人に一人とされているのに対し、数百例規模の臨床試験データしかない。そのため、「重篤な副反応に関するデータは、可及的速やかに収集して評価し、適正使用に必要な措置を講じる」という承認条件が付くことになった。再審査期間は8年で、原体・製剤とも劇薬に指定されている。
部会では、定期接種が4シーズン中断していることを受け、委員から「今夏シーズンの予防接種に間に合うよう事務処理を迅速に進めてほしい」との要望があった。そのため、委員間の意見調整を図り、3月下旬に予定されている薬事分科会の前に、正式承認することを目指すこととなった。
ヤンセンファーマの「ドキシル注20mg」は、化学療法後に増悪した卵巣癌の効能効果を追加したもの。2年前にエイズ関連カポジ肉腫の効能で承認を取得していた。製剤設計を変更し、ドキソルビシン塩酸塩をリポソームで包んだ。既に75カ国で承認されている。国内での治験症例が少ないことから、承認条件として全例調査が付く。再審査期間は5年10カ月。原体が毒薬、製剤が劇薬に指定されている。
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