ジャンプ一家の長男が輝いた。「5位にはびっくりした。素直に喜びたい」。試合後に笑顔を見せることの少ない26歳の渡瀬が、思い切りほほ笑んだ。
見せたのが1回目。助走速度を抑える難しいゲート設定で上位選手が失速する中、日本の菅野チーフコーチが「飛び出しのタイミングと方向がばっちりだった」と評したジャンプで121.5メートルを飛び3位につけた。2回目は99メートルだったが、01年1月のW杯(米国)で8位になって以来の一けた順位を通算40戦目で記録した。
世界選手権団体6位の元ジャンパーで日本女子コーチの弥太郎さん(48)を父に持ち、妹のあゆみ(24)も選手。札幌日大高3年時にNHK杯を制し、次代を担うジャンプ界のサラブレッドとして注目を集めた。ところが、ルール変更でスキー板が長くなると操作に苦しみ、自信を失って伸び悩んだ。
それでも、「フィジカルが強く技術も高い」(斎藤・雪印監督)逸材だけに、スキー板が下がらないよう踏み切りの力を制御するなどしてジャンプを修正。食事改善や葛西を見習ってジョギングに励み、状態を上げてきた。25日のW杯(カナダ)で131.5メートルを飛び「まだやれる」と前向きな気持ちを取り戻したことも好成績につながったという。
「おやじの期待に少しは応えられたかな」と渡瀬。目標は親子での世界選手権出場と来年のバンクーバー五輪。「この調子を維持していきたい」と意気込んだ。【立松敏幸】
毎日新聞 2009年1月31日 21時31分(最終更新 1月31日 23時19分)