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事件・事故

3年前の事故公表せず再生医療 先端医療センターなど 

 先端医療センター(神戸市中央区)と神戸市立医療センター中央市民病院(同)は二〇〇七年十一月、初めて心臓血管再生医療を実施したが、その三年前、処置に必要な特殊な測定装置によって患者が一時、心肺停止状態になる事故があったことが三十一日までに分かった。この装置による死亡事故も国内外で起きており、重大な事故を公表しないまま再生医療に踏み切ったことになる。同センターの浅原孝之研究所副所長は「情報公開すべきだったが、自分だけで判断できなかった」と対応の不備を認めた。

 装置は米国の医療機器メーカー製「ノガ」。電極が付いたカテーテル(細い管)を動脈から心臓内に通し、筋肉の動きを把握する。国内では数施設にしかないという。

 事故は〇四年十月、同センターのノガを同病院で使ったときに起きた。

 同病院によると、患者は狭心症などを患い、再生医療を含む最適な治療法を判断するためノガで検査した。管の先が心臓の血管を突き破って出血し、心肺が停止したが、緊急手術で救命できた。

 ノガを使って二例目で事故が起こったため、同病院は使用を見合わせ、先端医療センターも計画の見直しを迫られた。国内で一例、海外で二例、患者の死亡事故が起きていたことも分かった。

 だが、審査委員会の再承認を得たとして、〇七年十一月、ノガを使ったうえ、細胞を注入し新たな血管を作り出す初の再生医療を実施。米国などから熟練者を招き、トラブルはなかったという。

 この間、同センターと神戸市は「患者の同意がない」として事故を公表しなかった。神戸新聞社の取材にも当初「事故は再生医療と無関係」として応じなかった。

 浅原副所長は「患者には事前に説明した」とした上で「研究は(一般にも)すべてを明らかにして進めるのが基本。全国から注目される医療産業都市として、率先して公表すべきだったかもしれない」と述べた。(森本尚樹)

 先端医療センターの心臓血管再生医療 慢性心筋梗塞(こうそく)や狭心症などが対象。血管のもとになる血管内皮前駆細胞を患者の身体から採取し、動脈から通したカテーテル(細い管)で、心臓の血管が詰まった部分に注入する。新たな血管を作り出し、血行を回復させる。2004年7月に同センターの再生医療審査委員会が開始を承認した。

(2/1 08:48)

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