2009-01-30
■[memo]レーシックのこと
ブクマより。
はてなブックマーク - レーシックで目見えすぎワロタwwwwwwwwwwwwwwwwww:VIPPERな俺
実は1年ちょっと前にイントラレーシックを受けました。いろいろと憶測による都市伝説みたいになってるので、ちょっとメモしておきます。(最初に断っておきますが、私は医師ですが眼科医ではなく、専門知識は医学部の学生程度です。)
私のスペックと術前の状態
30代女性。7歳時に近視と診断される。10歳から常にメガネの生活に。14歳からハードコンタクトレンズ使用。手術直前の裸眼視力は両眼とも0.04、−10D以上の「最強度近視」、乱視もありました。コンタクトレンズによる角膜炎、角膜潰瘍を繰り返し、コンタクトレンズが使用できなくなったのをきっかけに、レーシックを受けることにしました。
術後
術後の視力は両眼とも1.2で、術後1年以上たっても低下はありません。
痛みは術当日のみで、翌日には消えていました。
私が受けた病院では、1週間くらいは目を強くこすらないよう、寝るときに眼帯のようなものを装着するよう言われました。翌日から入浴可、アイメイクなどは1週間後から可。温泉やプールは、念のため1ヶ月くらいは控えるようにとのこと。
術後の副作用
- ハロ・グレアといわれる「光がぼやける現象」
→1ヶ月くらいで慣れました。メガネやコンタクトでも多少ありますよね?それとあまり変わらないです。 - ドライアイ
→手術時に三叉神経の角膜枝が分断されるため、これは必発です。が、一時的。私は目薬で対応しながら、3ヶ月くらいで治りました。ドライアイには様々な機序があるため、一概に「もともとドライアイの人がレーシックを受けるとさらに悪化する」とは言えません。逆に、コンタクトレンズなどでドライアイになっている人は、レンズをしないことでよくなる可能性があります。
※「老眼が早く来る」「失明の恐れがある」というのは都市伝説です。老眼の起きる機序は角膜とは関係ありません。まれに視力が再度低下する人もいるようですが、角膜の厚みによっては再調整可能です。
感じているメリット
- 見える!
→これに尽きます。これまで、例えば旅行先での入浴など足元さえ見えなくて怖かったのですが、それがなくなった。あと、当直で寝ているときに起こされるたびに「メガネメガネ…」って探さなくてすむのがいいです。
感じているデメリット
- 焦点距離の問題
→近視は、「焦点距離が短くなる」病気です。レーシックでは角膜を削って無理やり焦点距離を変えているので、今まで一番見やすかった距離のものが、当然見えにくくなりました。具体的には、寝転がって本が読みにくい…。
その他
薬でも、コンタクトレンズでも、手術でも、「医学的介入」には必ずメリットとデメリットがあります。副作用ゼロという治療はありません。
メリットがデメリットを上回り、自分にとって価値があると思えば受ければ良いのです。
追記
私たち医師は、何か情報を得ようとするときには必ずPubMed(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/)で論文の検索をします。インターネットでレーシックについて検索すると、やってよかったという人の体験談と病院の宣伝用ページばかりがヒットしてあまり参考にならなかったりしますが、PubMedでは一応論文としてacceptされているものが調べられるので、信用度は高いと思います。
例えば“LASIK prognosis(予後)”や“LASIK complications(合併症)”といれて検索すると、何百もの文献がヒットします。(LASIKはLaser-Assisted in Situ Keratomileusisの略ですが、略語でも大丈夫なようです。)ちょっと結論だけ知りたいようなときは、要旨を読むだけで十分かと。
例えば、長期予後については、やっと10年間のフォロー結果が出始めたようです。
Ten-year follow-up of laser in situ keratomileusis for myopia of up to -10 diopters.
Alió JL.et.al. Am J Ophthalmol. 200873%が±1D以内、92%が±2D以内の視力を維持していた。20.8%の眼で、過矯正・矯正不十分・視力の低下などのため再手術を要していた。深刻な合併症はなかった。