6月26日の朝日新聞に「500円DVD 原盤は30円」という見出しの、珍しく役に立つ記事が載ってました。この記事によりますと、格安DVDで目立つ500円タイプの最大手メーカーは、シェアが50%程度のコスミック出版とのこと。これまでに129作品、約500万枚を売っているそうです。単純平均で、1作品あたり4万枚弱になりますが、最高は「カサブランカ」の8万枚だそうです。
注目の原価内訳は、著作権保護期間が終わったパブリック・ドメイン作品の場合、某社の1万枚販売のモデルケースでは以下のようになってるそうです。
[卸値]315円
原盤購入 30円
字幕作成 30円
デジタル編集 20円
ジャケットのデザイン・印刷 15円
プレス 50円
包装 50円
利益 120円
[流通経費と取次・書店の利益]185円
流通経費の内訳は掲載されてませんが、うちの店が仕入れた経験では、書店マージンが25%で125円でしたから、取次マージンが50円、送料等の流通経費が10円というあたりであろうと想像されます。これはあくまでも1万枚売れた場合のモデルケースですが、出版社の利益と流通経費の合計が305円と、60%以上もあることがわかります。ようするに、制作費は195円しかかかっていないということです。
これをダイソーの315円DVDに当てはめてみますと、送料等の10円を引いても制作販売の粗利益は110円あることになりますから、十分に儲かっていることがわかります。先に紹介した「ヤングカルソ」を見ても、ジャケットの印刷は2色ですし、その他の直接制作費も、安い原盤を探したり、字幕やデジタル処理も使い回しで済ませることができたら、もっと原価は下がり利益率は上がるでしょう。そして、1万枚以上売れれば利益率がどんどん向上して行くであろうことは言うまでもありません。なお、ダイソー盤は台湾製、コスミック出版盤は韓国製となってます(※ただしサンプル各1)。