いがらしを訪ねて。
野間雅代嬢と、いがらしちよ嬢を訪ねる。
いがらしは、今年に入って入籍をし、程無くして赤ちゃんを授かった。
おめでとう、おめでとう、と言い、呑めない躰のいがらしを囲んで、
みんなでお祝いの乾杯をした。
『+1 vol.2』の公開も終わり、いがらしの躰も落ち着き、
お腹の大きい内にゆっくり会っておきたかったので、野間くんをお誘いする。
或る木曜日の午后、いがらしの家の最寄りの駅で野間くんと待ち合わせた。
野間くんに選んで頂いた可愛い花束と甘いお菓子を携えて、
前以て教えられていた住所から地図で調べた道順を、こっちこっち、と歩く。
大通りから住宅街へと入り、細い道を進むと大きな公園に出た。
静かで良いところだ。
珍しい遊具を発見。
この辺の筈。
住所を見るとこの辺り、なのにわたしはうっかりしており、
いがらしの新しい名字を聞いていなかった。
う〜ん、この家か、それともこっちの家か。
携帯電話を鳴らせば直ぐなのだが、自力でピンポンとチャイムを押したい、と妙な意地を張る。
そこに、都合宜しく郵便配達のバイクが停まる。
郵便配達の方に、済みませんがいがらしちよさんのお宅は・・・、と尋ねると、
ここですよ、とわたしたちが立っていた目の前のお宅を教えて下さった。
わたしたちは、やっぱりここか、とチャイムを押す。
よく判ったねぇ!、といがらしがドアを開けてくれた。
新婚さんのお宅を訪問するのは始めてかも知れない、と思う程記憶に遠い。
なにからなにまで新しく可愛らしい部屋を見て、
良いね、良いね、と幸せそうないがらしを冷やかす。
いがらしの淹れてくれたお茶とお菓子で、暫し歓談。
仕事の話、髪型の話、これからの子育ての話、四方山、四方山。
いがらしは女優さんであるが、杉並区議会議員でもある。
おもしろい。
暮らしの中の小さくも重要な疑問を問うてみたりする。
いがらしの魅力は、その行動力と勇気。
いつも美しい人だと思う。
明るい内に散歩へ行こう、と真新しいビデオカメラを持って、来る時に通って来た公園へ向かう。
いがらし、のびのび。
野間くん。
野間くんは、わたしよりも随分と歳下であるが、実は中高の後輩である。
彼女のお兄さんがわたしのひとつ上の先輩であった。
それを知ったのは、昨年末に開かれた利重剛監督のワークショップに参加した時のこと。
それからのお付き合いになる。
利重さんには、ちょっと変わった学校、という印象が有るらしく、
わたしたちはひと括りにされている。
木々の足元を歩くのはなんと気持ちの良いことか。
小さな川を挟んで広がる公園。
橋を渡って向こう岸へ。
森の向こうに陽が沈もうとしている。
可愛いふたり。
↓
3人。
いがらしお薦めの美味しいイタリアン・レストランに行こう、ということになり、
一旦家に戻り、お店が開く時間を待って再び出掛ける。
知らない道を歩くのは楽しい。
素敵なお宅を眺めながら、美味しいものに向かってほくほくと歩く。
来る時に降りたのとは違う駅の商店街に、小さくて温かなレストランは在った。
メニューを見て、心魅かれる品をあれこれとお願いする。
シンプルなピッツア、美味しい、美味しい。
ローズマリーの香りが堪らない。
女3人、勿論デザートまでちゃんと頂く。
野間雅代嬢といがらしちよ嬢。
並んだふたりの女優さんの可愛い笑顔が、わたしにとってなによりのご馳走となった。
話は尽きず、名残惜しく駅前で別れる。
よく笑った。
わたしたちが訪ねた26日後、いがらしの赤ちゃんは無事にこの世に誕生した。
小さな、小さな、女の子。
逢える日を楽しみにしていよう。
きらきらとした、幸せに包まれた日々を小さなその手に。
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