不況の深刻化で4年生では内定取り消しが問題となり、3年生にとっては94~04年ごろの「氷河期」再来かとも言われる就職活動。冷え込み始めた就活最前線の状況をキャンパる記者に聞いた。
▼3年生はいま、どんな活動をしている?
A(3年・女) 昨年秋に合同説明会に2度行き、今年に入り会社別の説明会に4社ほど出た。志望業界のOG2人に会った。
B(3年・女) セミナーや企業の説明会に行っている。友達の中にはもうグループ面接を経験した人もいる。
C(3年・女) 説明会は一切いかず、プレエントリーを20社ほどした。
D(3年・女) 不況のせいか、企業説明会がすぐ満席になり困っている。説明会のお知らせメールを受信して、2時間後にはもう満席。パソコンに24時間張り付いているわけにいかないし……。説明会に出ないとエントリーできないというのはやめてほしい。
▼本格エントリーはこれからのようだが、厳しさを感じる?
B エントリーした会社のうち4社から「新卒は採らないことにした」というメールが来た。
A 私もコンサルタント系の1社から、年明けになって採用なしのメールが来た。不動産・住宅業界を志望している友人は、両親に大反対され他の業界を回り始めた。
D 第1志望の出版業界の募集要項がアップされるのを待っていたのに「今年は募集しません」という会社が多くショックだ。
E(3年・男) 僕も企業説明会で「今年は採用を減らす」と言われた。どの説明会にいっても「経済状況が厳しい」と必ず言われる。
▼採用を絞っている企業が多いようだね。景気のいい話はないのか。
B 大学の就職課の話では、前年と変わらない人数を採る企業もあるという。全般に、面接を何回もやる「人物重視」のところが多いように思う。
X(4年・女) 私の内定先のベンチャー企業では、逆に採用に力を入れ出した。大手の採用枠が少なくなっている今が中小企業にとってはチャンスだそうだ。ただ、企業はいつつぶれてもおかしくないという観念が学生に広がり、中小企業の人気が落ちているので簡単ではないようだが。
▼4年生の内定取り消しは。
Y(4年・女) 私の大学で数人、内定取り消しされたらしい。私が内定をもらっている企業からは「業績は良くないが、長年の積み重ねがあるので大丈夫」的な話をされた。でも、建設関連なので正直心配(笑い)。
D 私の大学でも建設業界に内定を取り消された男の先輩がいるそうで驚いた。「先輩たちは景気が悪くなる前に就活が終わっていいな」なんて思っていたけど、一寸先は闇だ。
Z(大学院・男) リーマン・ブラザーズの内定を取り消された知り合いの男子学生は、以前に内定を断った企業に掛け合って採用されたという。
どんな仕事でもやる
▼どんな決意で就活に臨んでいるか。
C 不景気だということを自覚して、来年4月からの経済的自立をぜがひでも目指す。 ◇どんな仕事でもやります。
A 金融業界、サービス業界を狙っていたが年が明けたら不安になった。メーカーなど他の業界にもエントリーしようと思う。
B 私は、一生働くという視点で職種を選んでいる。もしダメだったら中途採用を狙うか、希望業種のアルバイトを探して頑張るつもり。男の人はそうはいかないでしょうし、「派遣切り」の話を聞くと、まだ恵まれているほうかなと思う。
D 第1志望への気持ちは大切だと思うけど、今は、とりあえず入社できそうな会社を探さなければと思っている。「とりあえず内定」がほしい。受験勉強もつらかったが、どうしたら内定がもらえるか明確な解答がない就活のほうがきつい。
F(3年・男) 自己分析や動機をはっきりさせなければならない時だが、相談した社会人の先輩からダメ出しを受けている。就活そのものの本質をとらえられず不安が募るばかりだ。
▼地方から東京に出てきている学生は?
G(3年・女) 友人の男性は「地元に帰りたいので公務員一本で勝負する」と言っている。また、別の友人は大学院に行くことを決めたのに就活している。理由は「院で就活する2年後はさらに景気が悪くなるかもしれないので、面接に慣れておくため」だって。
B 1月は試験と就活が重なって非常に忙しかった。勉強をしない大学生が増えていると言われるが、それなら企業は学業に集中できるよう採用選考をもっと遅くすべきだ。筆記試験の中にも、なぜやるのか疑問なのがある。常識や時事問題は必要だろうけど、適性検査の知識って本当に入社後、役立つの?
▼シューカツは不合理な点が多そうだ。
B 学生のほうも自己PRに必死で、企業ではみな大声であいさつしていてびっくりする。普段、大学では警備員さんなんかに会ってもあいさつなんかしないのにね。
D 彼氏がいる子と、いない子で就活に差がある気がする。友人で社会人に彼氏がいる子で、腰掛け内定を目指している子もいる。心に余裕があるのは、うらやましい。マスコミが不景気だとあおりすぎるのではないか。
Q(4年・女) いや、今の世の中、確実なものはない。彼氏だってね。<イラスト 早稲田大・保谷穂>
毎日新聞 2009年1月30日 東京夕刊