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「先見通せない」「この町はつぶれる」日立城下町に激震(1/2ページ)

2009年1月31日20時42分

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グラフ

 「創業99年」を2月に迎える日立製作所発祥の街に30日、激震が走った。30日午前には市が雇用対策を打ち出し、東京ガスの備蓄基地建設が発表された直後だっただけに、「赤字7千億円、リストラ7千人」という凶報は、企業城下町を不安一色に染めた。

 「ますます先が見通せなくなった」。同社関連の仕事が売り上げの7割を占める市内の機械加工会社で、70代の社長はつぶやく。

 社員20人の小さな会社だが、精度の高い少量多品種を武器に、生き抜いてきた。昨年までは人手が足りず、発注を断るときもあった。一転して今年は仕事が半減した。価格競争も激しくなった。「仕事があるときに次の仕事を探すべきだと言う人もいるが、この間まで忙しすぎてそんな余裕はなかった」とため息をついた。

 日立社員のおかげで20年近く成り立っていたという日立市の居酒屋。「とにかく暇だよ。全然だめだね」と店主は嘆く。今年に入って客は大幅に減り、30日は午後7時を過ぎても客はいなかった。対照的に、JR日立駅前の居酒屋には日立製作所の社員が集まっていた。盛り上がってはいたが、話題は専ら大赤字や人減らしだったという。

 市内の青果物卸店でも、日立製作所向けの取引はこの半年近くで2割近く減った。店で働く80代の女性は「工場がどうかなると、この町はつぶれる」と危機感を募らせる。

 茨城労働局によると、日立市の有効求人倍率は昨年4月の0.88倍から悪化の一途をたどり、12月で0.69倍。ハローワーク水戸管内は0.86倍、土浦は1.06倍で、日立は大きく見劣っている。求人数が少なかったことに加え、景気悪化で求職者が増加したのが原因だ。今後のさらなる悪化は避けられそうになく、茨城労働局は「かなりの影響が出る。県南・県西に比べれば、少なめだった派遣労働者の雇い止めが今後さらに増えるだろう」と懸念する。

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