介護保険制度の平成21年度からの介護報酬改正についてパブリックコメントをとっているが、一段落した感がある。この際に明らかになりながら、ほとんど対応しなかった課題がある。それは、スケールメリットについてである。
2008年の「介護事業者経営実態調査」から、在宅について言えば、多くの事業はスケールメリットの影響が大きく、利用者数がある臨界点に達すると、赤字から黒字に変換することであった。ちなみに、訪問介護であれば、600回の利用になれば、訪問看護であれば200回が臨界点という結果であった。他の居宅サービスにも臨界点があり、訪問入浴介護では160回、通所介護では300回、通所リハでは450回、福祉用具貸与では100人であった。居宅サービスだけでなく、施設サービスも同様であり、定員数が少なければ収支差率が低い傾向が示されていた。
今回の介護報酬改正では、これらのスケールメリットに対しては全く配慮されることはなかった。介護老人福祉施設については、今までは最低基準である50床を基準にしていたのを、70床を基準にするよう、国から都道府県に通達のようなものを出すことが、書かれていた。一方、小規模の訪問介護や訪問看護事業者等については、経営面で、総務部分を共同化する等の事業者間で連携していく工夫を指導している。
確かに、利用者が少ない小規模事業者に対する介護報酬での配慮は難しいのかもしれないが、そこには、私には割り切れない思いがある。小規模事業者の方がサービスの質が高かったり、柔軟性があり、融通が利く利面性があるはしないのかということである。専門性が特化しているのであれば、配慮が必要である。
施設の場合には、認知症者の場合、大型施設よりもグループホームのような小規模施設の方が、BPSD(行動・心理症状)が少なくなったり、表情が明るくなるというエビデンスが相当多くでている。その意味では、ベット数の違いで利用者へのサービスの質が異なるエビデンスを明らかにし、50床程度の介護老人福祉施設や老人保健施設の介護報酬単価を高くすることの議論が必要ではないのだろうか。
一方、在宅サービスでは、小規模の方が質が高いことが実証されてはいない。研究者は小規模と大規模とで、在宅サービスの質はどのように異なるのかの研究が求められる。そのような調査結果に基づいて、スケールメリットを基礎にした報酬議論なのか、サービスの質を配慮した介護報酬議論なのかが、分かれてくるように思われる。
小規模の在宅サービス事業者に求めたいことは、大規模事業者に比べて、どのようなサービスでの良さがあるかについて、明確に答えることができことである。どのような専門性を高くすることで、利用者へのサービスの質が高いことを実証していっていただきたい。
そうして、3年先の介護報酬改正では、小規模事業者への配慮した改正を勝ち取って頂きたい。
2008年の「介護事業者経営実態調査」から、在宅について言えば、多くの事業はスケールメリットの影響が大きく、利用者数がある臨界点に達すると、赤字から黒字に変換することであった。ちなみに、訪問介護であれば、600回の利用になれば、訪問看護であれば200回が臨界点という結果であった。他の居宅サービスにも臨界点があり、訪問入浴介護では160回、通所介護では300回、通所リハでは450回、福祉用具貸与では100人であった。居宅サービスだけでなく、施設サービスも同様であり、定員数が少なければ収支差率が低い傾向が示されていた。
今回の介護報酬改正では、これらのスケールメリットに対しては全く配慮されることはなかった。介護老人福祉施設については、今までは最低基準である50床を基準にしていたのを、70床を基準にするよう、国から都道府県に通達のようなものを出すことが、書かれていた。一方、小規模の訪問介護や訪問看護事業者等については、経営面で、総務部分を共同化する等の事業者間で連携していく工夫を指導している。
確かに、利用者が少ない小規模事業者に対する介護報酬での配慮は難しいのかもしれないが、そこには、私には割り切れない思いがある。小規模事業者の方がサービスの質が高かったり、柔軟性があり、融通が利く利面性があるはしないのかということである。専門性が特化しているのであれば、配慮が必要である。
施設の場合には、認知症者の場合、大型施設よりもグループホームのような小規模施設の方が、BPSD(行動・心理症状)が少なくなったり、表情が明るくなるというエビデンスが相当多くでている。その意味では、ベット数の違いで利用者へのサービスの質が異なるエビデンスを明らかにし、50床程度の介護老人福祉施設や老人保健施設の介護報酬単価を高くすることの議論が必要ではないのだろうか。
一方、在宅サービスでは、小規模の方が質が高いことが実証されてはいない。研究者は小規模と大規模とで、在宅サービスの質はどのように異なるのかの研究が求められる。そのような調査結果に基づいて、スケールメリットを基礎にした報酬議論なのか、サービスの質を配慮した介護報酬議論なのかが、分かれてくるように思われる。
小規模の在宅サービス事業者に求めたいことは、大規模事業者に比べて、どのようなサービスでの良さがあるかについて、明確に答えることができことである。どのような専門性を高くすることで、利用者へのサービスの質が高いことを実証していっていただきたい。
そうして、3年先の介護報酬改正では、小規模事業者への配慮した改正を勝ち取って頂きたい。
表題の件について、下記のような視点に対してはどのようにお考えか教えて頂けないでしょうか?(頭にhをつけて下さい
特別養護老人ホーム緑風園施設長のブログです。有名なHPですが、ご存知でしたか?)
ttp://blog.livedoor.jp/masahero3/archives/51207667.html
理想と現実の間で悩んでいますが、現実は人手が足りません。(特に田舎で)
ご自身の研究結果からそういった事実があるのならおっしゃる事もわかりますが、小さいところにも生き残ってもらいたいから小さいとこのメリットを無理やり捻り出そうという態度は学者としていかがなものでしょう。
社会学博士というのは学者ではなく運動家か何かですか?
個別には社長の能力次第で大手以上の質を達成してる小規模事業所も沢山あるでしょうが、小規模で無茶苦茶してる事業所が大量にあるのも事実です。
サービス情報の公表のデータ集計でもしてみて下さい。
少なくとも私は色んな地域のデータを集計した上で発言していますから否定するなら納得させるだけの根拠を示して下さい。
もしも営利法人は嫌いだとか大規模でやってるとこは画一的なサービスをしてるに違いないなどという、根拠のない単なる思い込みからの発言なのであればご自分の立場を良く考えて下さい。
ところで、経営上スケールメリットがあると言うのは調査結果から事実として、その経営者が質の高い小規模事業所経営者並の人物(人格・理念・知識・経験等)であれば質の高い小規模事業所以上の質も達成可能だと思いますがその点はいかがお考えですか?
介護に限らずあらゆる事業には固定費と変動費があって、それと売上げの差である損益に分岐点があるのはわざわざ調べるまでもない話でしょう。
黒字になる規模で経営するのを大前提に、ある程度以上大きくなると管理費の割合が上がるだとか、企業規模による介護保険法以外の規制(例えば障害者雇用率や)の影響を受けるだとか拠点からの距離が遠くなって移動のコストが上がる等という様々な理由から適正規模を超えると利益率が下がるなんて話ならまだ制度設計の参考になるかも知れません。
それからウェルでもスケールメリットの話が出た事が何度かありますが、事業所の規模と法人の規模の話をきちん分けた上で考えないといけないですね。
個人的に在宅サービスにおいては質においても小規模の方が有利な面はほとんどないと思います。何かあったとしても、運営上の工夫で大規模の事業所も同じ事が出来るような内容でしかないでしょう。
逆に小規模で大規模に負けない質を保とうと思うなら他事業所との連携の中で情報を共有して行くなど一層の努力が必要です。
http://www.wel.ne.jp/bbs/article/146774.html
http://www.wel.ne.jp/bbs/article/139662.html