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【静岡】《経済》 富士ハウス自己破産 経済・雇用深刻な影響2009年1月31日
浜松市長 連鎖防止へ『支援』資金繰りに窮していた富士ハウス(浜松市中区砂山町)が金融機関の支援を得られず事業継続を断念、グループ会社2社とともに東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。木造注文住宅メーカーの全国準大手。県西部では過去最大の大型倒産となり、地域経済や雇用に深刻な影響が予想されるとして、浜松市の鈴木康友市長は30日、「下請け企業の連鎖倒産防止のため、金融面での支援を早急に講じていく」とのコメントを発表した。 帝国データバンク浜松支店などによると、グループ2社を含めた負債総額は約638億円。県内ではリース事業の静信リース(静岡市、2562億円)スーパーのヤオハンジャパン(沼津市、1613億円)消費者金融のクレディア(静岡市、757億円)に次いで過去4番目の規模となった。 手続き開始決定を受け、東京地裁は7月13日に都内で債権者集会の開催を決定。この間の業務はすべて破産管財人の下で処理される。 富士ハウスは30日、従業員に対し3月2日付での解雇を通知。未払いの賃金と退職金については他の債権に優先して弁済するとした。 ホームページで破産に至った経緯を説明、下請け業者や取引業者、契約者にはおわびを掲載した。未着工の住宅のほかに、数百ある施工中の住宅は工事を中断する。 支援企業が事業を引き継ぐ民事再生とは異なるため、建築中の住宅については破産管財人が別の業者をあっせん。引き渡し後の住宅のアフターサービスは契約者が個別に依頼することになる。 取引先や同業者、不安心理拡大を懸念点検の対応は誰が…施主当惑景気悪化で住宅着工が減少する中、同業者らからは県内最大手メーカーの経営破綻(はたん)に「不安心理の拡大が心配」と懸念する声が相次いだ。 浜松市中区の富士ハウス本社前には、情報を聞き付けた関係者が次々と訪れた。社宅を貸しているという地元不動産会社の男性社員(33)は、破産手続き開始を知らせる張り紙を見つめ「今後の対応を急がないと…」。建築資材会社の社員(39)は「いずれはあるかもしれないと思い、少しずつ取引を減らしていた」と明かした。 同社で家を建てたという近くの女性(40)は「営業担当者の対応はよかった。まだ1年点検も残っているのですが…」と当惑した様子だった。 市内の住宅建設会社社長(53)は「経営がよくないとは聞いていた。一般の人はそういうことを知らない。市民の不安をあおってしまう」と懸念した。建材会社幹部は「雇用などの不安から施主が着工をためらうケースもあるようだ。今回の破産で心理的影響が広がると建材業界にとってもマイナス」と声を落とした。 県西部地域しんきん経済研究所の間淵公彦主席研究員は「製造業を中心に残業が減って一時帰休も増えており、若い人が数千万円ものローンを組む状況ではなくなってきている」と指摘。今後も厳しい状況が続くのではないかとの見方を示した。 富士ハウス 1971(昭和46)年設立の木造注文住宅メーカー。静岡県を中心に東海、関東、関西地区に営業網を広げ、78支店と144カ所の住宅展示場を展開。ピーク時の01年3月期には約473億円の売上高を計上した。関連会社の建材仕入れ・加工の日京、不動産事業のサニーを合わせ従業員は約2000人。
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