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【コラム】オバマ夫人はOK、李大統領夫人はダメな理由(下)

 ところで、政治家の「恥ずかしい行為」が製品ヒットにつながる場合もある。1998年、当時のクリントン大統領とホワイトハウス実習生だったモニカ・ルインスキーさんの「不適切な関係」を証明したのは、「アメリカ人のユニホーム」ともいえるブランド「GAP」の青いドレスだった。100ドル(約9000円)ほどのGAPのドレスは一時、米国人女性たちの「マストバイ(絶対に買うべき)アイテム」になった。 

 ブッシュ前大統領は米国製のサンダル「Crocs」を世界に知らしめた。支持率が転落した2007年夏、ブッシュ前大統領は水はけをよくしたサンダル(29.99ドル=約2700円)に黒い靴下という出で立ちを写真に撮られた。ワシントン・ポスト紙は「ブッシュを支持しようとしまいと、確かなのは彼にファッションセンスがないということ」「ビーチに遊びに行く年寄りみたい」と書き立てた。しかし、普通の人々はブッシュ前大統領のことを冷笑しながらも、Crocsのサンダルに夢中になった。この一件を経て、韓国にもCrocsの専門ショップがオープンした。

 では、韓国でも似たようなことが起きる可能性があるのだろうか。ほぼ不可能だろう。地位の上下を問わず、韓国人は特定ブランドに言及するのを嫌うからだ。先の大統領選では、李明博(イ・ミョンバク)候補(現大統領)の妻、金潤玉(キム・ユノク)夫人の時計が論争を呼んだ。高級ブランド「フランク・ミューラー」の数千万ウォンもする時計ではないかと取りざたされたのだ。これが中傷合戦に飛び火するや、ハンナラ党が「数千万ウォンの高級時計ではなく、北朝鮮の開城工業団地に工場があるロマンソン社が作った“統一時計”」と火消しに出る騒動になった。

 最初から金潤玉夫人が自らメディアに対し「この時計ですか。ロマンソンです」と言っていたらどうなっていただろうか。そうだとしても、逆風にさらされていた可能性が高い。「特定企業のPRをしている」と強く非難されるのは目に見えているからだ。

 公の場でブランドについて語るのをはばかる韓国の「世間体文化」は、世界的なブランドの育成には不向きだ。ブランドは資本主義という花の種だ。それに言及するのを卑しく思うなら、韓国では100年たってもJ.CREWのようなヒット・ブランドは誕生しないだろう。

エンターテインメント部=パク・ウンジュ部長

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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