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京畿連続殺人:同じ殺害パターンの繰り返し(上)

カン・ホスン容疑者、7人の女性を連続して殺害

 写真の中のカン・ホスン容疑者は明るい笑みを浮かべている。その表情からは、7人の女性を殺害して埋めた連続殺人魔としての側面はうかがえない。近所に住む人たちは誰もが「親切でまじめな人」と証言しているが、これもある意味当然のことだった。カン容疑者は魅力的といえるほどさわやかな外見と善良そうな笑みで女性たちを車に誘い込み、獣のような欲望を満たしていた。その後、女性たちの首を絞めて殺害。遺体は自宅周辺の空き地や裏山などに埋めた。後始末が終わると、カン容疑者は再びさわやかな30代男性に戻り、何事もなかったかのようにトラックを運転し、家畜を飼育し、スポーツマッサージの仕事を行っていた。まさに人間の体を借りた邪悪な悪魔だったのだ。

 京畿道軍浦市で20代の女性を殺害した容疑で、今月24日に身柄を拘束されたカン・ホスン容疑者(39)が、30日朝になって自らの犯行を自白した。2006年12月以来、これまで京畿道南西部一帯で行方不明になった女性7人について、その全員を殺害したと証言したのだ。04年7月、20人を殺害して逮捕されたユ・ヨンチョル死刑囚(39)、06年に13人を殺害したチョン・ナムギュ死刑囚(40)以来、再び繰り返された連続殺人事件だった。

 警察は「容疑者が所有するトラックに残されていたジャンパーに付いていた血痕が、昨年末に水原で失踪した主婦キムさん(当時48歳)のDNAと一致した。これは国立科学捜査研究所の遺伝子鑑識の結果によるものだ。この結果を基にカン容疑者を追及したところ、犯行を認めた」と捜査の経緯について説明した。警察はこの日、殺害された7人の女性のうち6人の遺体が埋められた現場を検証した。カン容疑者が07年1月に殺害したカラオケ店のアルバイト店員キムさん(当時37歳)については、カン容疑者が遺体を埋めたと証言した場所に現在ゴルフ場がある。

◆典型的な連続殺人犯

 カン・ホスン容疑者は被害者の首をストッキングなどで絞めて殺害し、その後服を脱がせてた上で遺体を埋めた。カン容疑者は07年1月3日から7日までのわずか5日間に3人もの女性を殺害した。カラオケ店から3人、ひと気のないバス停留所から4人を誘い出した。さわやかな印象の外見と巧みな言葉で被害者を誘い出した手口は、70年代に米国で30人の女性を殺害したテッド・バンディ容疑者をも連想させる。

 「連続殺人犯(serial killer)」という言葉は、75年に米国連邦捜査局(FBI)の心理分析官だったロバート・レズリー氏が初めて使った。連続殺人犯の特徴は、抵抗力の低い女性や子供、高齢者など、社会的弱者を犯行のターゲットにするという点だ。カン容疑者もやはりか弱い女性ばかりを狙った。

 カン容疑者は警察の取り調べに対し、「05年の火災で4人目の妻を失った後、1年間にわたり自暴自棄でさまよってからは、女性を見ると殺人の衝動に駆られるようになった。最初の犯行を行ってからは自制することができなくなった」と証言している。しかし犯罪心理学の専門家らは「これは信じられない証言だ」としている。罪の意識なしに相次いで殺人を行うのは「サイコパス」、つまり反社会的人格障害者の典型ということだ。

 スポーツマッサージ師だったカン容疑者は、勤務先のサウナで身柄を拘束された。ここ2年間にわたり殺人を繰り返していた間、誰もカン容疑者を疑うことはなかったという。カン容疑者の自宅からは「不動産競売コンサルティング」など、不動産競売に関する複数の書籍が押収された。宅建業務など不動産関連の仕事に就こうと準備していたようだ。交通事故関連の法律についての書籍もあった。

チョ・ジョンフン記者

朝鮮日報/朝鮮日報日本語版

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